【鳥集】ウイルス干渉のことも、よく言われていますね。

【森田】いずれにせよ、インフルエンザや他の感染症が減っていることは、近視眼的にはいいことなんですが、じゃあ、消毒やマスクを徹底する生活を10年続けますかと言われたら、僕は違うんじゃないかと思うんです。

なぜなら、子どもは細菌やウイルスにさらされることで免疫力をつけていくものなのに、生まれてから10年間、ずっと無菌室で育った子どもって、ものすごく免疫力が弱ってしまうというか、免疫機能が満足に育たない。それなのに、医者が「これからは新しい生活様式が当たり前なんだ」って、堂々と言うのはおかしいと僕は思います。

新しい生活様式は本当に正しいのか

【鳥集】そうですね。私も素人ながら、アトピーなど重いアレルギーを抱える人が増えるのではないかと心配しています。「衛生仮説」というのがありますよね。赤ちゃんはいろんなものを触って、食べ物だけでなくダニの死骸やホコリなども含めて口から入れることで、腸にいる免疫細胞が「これは食べ物だから大丈夫」「これはいらないけど悪さをしない」と学習して、過剰な免疫の反応を抑える仕組みができると聞きました。

鳥集徹『コロナ自粛の大罪』(宝島社新書)

しかし、赤ちゃんを清潔にしすぎて、バリアを壊された肌から食べ物のカスやホコリなどが入ってくると、免疫細胞が「これは悪いものだ」と認識して、攻撃するようになる。それが、アレルギーが増えている一因だと聞いたことがあります。

【森田】可能性はありますね。ただ、それも想像の範囲というか推論の話です。そもそも今の医学がすべてを解明しているなどと思うのは幻想にすぎません。これほど人間の生活をガラッと変えてしまって、それがどんなリスクを孕んでいるかなんて、誰にもわからないんです。

【鳥集】本当にそうですね。感染予防のために消毒やマスクを徹底し続けることを、何の疑問もなく正しいと思い込むのは、あまりに短絡的だと僕も思います。(後編に続く)

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