もし配当金を再投資していればトータルのリターンは約31倍に

1992年のフィリップ・モリスの一株当たりの年間の配当金は74セントだったのですが、同社はその後増配を続け、その結果、直近の年間配当金は3ドル44セントとなっています。つまり、今同社株を保有していたとすると1992年末の株価である5ドル95セントに対し、現在の配当利回りはなんと57.8%となるのです。もっと分かりやすく説明しますと、1992年末にフィリップ・モリスに100万円を投資し、いまだ同社株を保有していたとすると、配当金は雪だるまのように増え、今年は1年間で57.8万円を受け取っていることになるのです。

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この時点で、これに勝る投資商品を探すのは簡単でないでしょう。債券のように確定しているクーポンではないものの、「配当貴族銘柄」の一つという安心感はあります。しかも、同社は今後も増配を続ける可能性が高いため、来年は57.8万円以上の配当金を受け取れる可能性があるのです。もし、この様なお宝銘柄を持っていたとすれば、売るような愚かなことはできませんよね。

この話には補足があります。もしもの話ですが、フィリップ・モリスが支払う配当金を使わずに、毎回そのまま同社株に再投資をしていたとすれば、今までのトータルのリターンは約31倍になっているのです。

この計算には配当にかかる税金や取引にかかる手数料を考慮に入れていませんので、実際にこの通りにさせるのは現実的ではありません。しかし、長期投資において、支払われた配当金を再投資することにより得られる複利のパワーのすごさを理解していただけると思います。これは短期的なキャピタルゲイン狙いのトレードではありえない、米国株長期投資の果実となります。

長期投資を成功させるためには

長期投資との闘いは、短期投資、つまり、短期トレードの誘惑との闘いです。先ほどの私の話のように、買った銘柄が、例えば短期的に1割上がるとついつい売りたい衝動に駆られてしまいます。目の前の10%の利益は魅力的に見えます。特に今のように銀行に貯金をしても金利がほとんど付かない時代においては、この10%は大変魅力的です。では、次に投資をした場合、同じようにうまくいくのでしょうか? 結論から申し上げますと、短期売買でコンスタントに利益を上げるのは至難の業だと思います。

私は2月27日にツイッターで、「短期売買と長期投資のどちらが利益を上げていますか」というアンケートを行ってみました。

約17%の方が短期売買と答えたのに対し、約83%の方が長期投資と答えました。多くの投資家は長期投資が成功の秘訣ひけつであると経験している訳です。

ただし、短期トレードがうまくいく局面もあります。市場の大暴落時のリバウンド狙いです。そういった意味では、長期投資のポジションと短期投資用のポジションを分けて株を取引し、保有するのも手かもしれません。