「日本人であること」のリスクを米国株投資でヘッジするという考え方

「これまで米国株の投資がよかったのは分かるが、これからのことは分からないだろう」という声も聞こえてきそうです。では、なぜ今後も私たちが米国株の投資をすべきなのかと言う視点で説明をしてみたいと思います。

私たち日本人は、日本に住み、日本の企業で働き、円で給料をもらい、円を使って生活しています。世界が日本だけであれば何の問題もないように思えます。しかし、日本は島国であり、食料の自給自足もできず、資源も外国に頼らざるをえないというのが現状です。では、その日本と接点のある諸外国の経済的な状況はというと、日本の経済成長率を超える勢いで成長しています。

直近のOECD(経済協力開発機構)の賃金についての調査The Real Minimum Wageによると、2019年の日本人の平均賃金は3万8617ドルであり、米国は6万5836ドルとなっています。途上国というイメージが強かった韓国は、4万2285ドルとなっており日本の平均賃金を抜いています。いまだ日本は経済大国と言われているものの、相対的に貧しくなってきていると言っても過言ではありません。

この様なデータから見える日本の現実、そして将来に危機感を覚えるのは私だけでしょうか。日本はすごいんだという類いの論調は、日本人にとって聞き心地の良い響きを与えます。ですが、私たちはもっと日本の将来についてより現実的に考える必要があるのではないでしょうか。

「いや、日本は今までの30年間と違う、経済的に明るい未来に向かっていくのだ」と心から信じられる方はここで本稿を読むのを止められても良いと思います。ですが、「確かに日本の将来について気になる」という方は次のような現状と見通しについて考えてみてください。

ますます拡大する日米の経済格差

日本は、2008年に1億2808万人で人口のピークをつけ、以降減少に転じています。そんな日本と米国の2020年の人口の差は約2.7倍なのですが、これが2030年には約3倍へ広がり、2050年には約3.8倍へ拡大する見通しとなっています。

経済についても日米の格差は拡大すると見られています。2020年の日本と米国の実質GDPの差は約3.7倍ですが、2030年になるとこの差は約4倍に拡大する見通しです。もっと先を見ますと2050年の両国の経済の規模の差は約4.6倍となる見込みです。

人口について補足します。2020年の日本人の年齢中央値は48.4歳で、アメリカ人のそれは38.3歳。その差は10.1歳です。それが、2030年になると日本人の年齢中央値は52.1歳まで上がってくるのですが、同期間のアメリカ人は若干上がるのみで、39.9歳となると見られています。その差は12.2歳と年齢的にも米国は相対的に若くなっていくのです。

もちろん10年、30年先の事を正確に予想することは誰にもできないのですが、米国が日本より長期に亘り優位な立場を維持するであろうというトレンドはどうも間違いなさそうです。