ユーシン労働組合中央執行委員長の平尾英司(31歳)は「社長代行は民間企業出身ではないということで、そのへんはどのように対応できるのか、まだ見えない部分があります。社長は自分たちの将来を左右する存在ですし、期待半分、不安半分というところがあります」と語る。とくに労組の最大関心事項は、国内事業再編に伴うリストラである。

平尾は「会社が成長することは労組も共通の認識です。ただし、国内事業の集約については、労組としては手放しで賛同することは難しい。集約するにしても異動させる、あるいは異動できない人の最低限の雇用確保を最優先に考えていただきたい」と要望する。

国外シフトも容易ではない。数多くの課題を克服し、ユーシンは新たな成長ステージに飛躍することができるのか。最後に社長代行の八重樫に改めて自身の役割とは何かについて聞いた。

「シェアを拡大し、量が増えればそれだけコストも下がるし、需要に応える研究開発も進んでいく。技術革新にしても幅広い会社とつきあうことで新しい技術やそれをつくり出す人間も生まれてきます。外国の自動車メーカーとのつながりを深めていくことが日本の自動車部品メーカーにとっては重要ではないかと考えています。そのためにも市場を開拓する。私自身が動き回って顧客を開拓することが当面の最大の役割だと思っています」

バイタリティ溢れる48歳の八重樫の行動力と手腕が、ユーシンに限らず、日本の自動車部品業界の明るい将来につながることを期待したい。(文中敬称略)

※すべて雑誌掲載当時

田邊耕二●社長 1934年生まれ。56年日野自動車入社、61年退社。同年ユーシン入社、65年取締役、76年専務を経て、78年より社長を務める。2006年最高顧問に就任。08年2月に社長に復帰し、現在に至る。社長就任からの33年で売り上げを4倍以上に成長させた。

八重樫永規●社長代行 1962年生まれ。東京大学法学部卒。86年外務省入省。在ロシア大使館総務・政務参事官、在ジュネーブ代表部WTO交渉担当参事官、本省領事局政策課長、在ニューヨーク日本国総領事館総務部長を経て2011年ユーシン入社。

益森 祥●専務執行役員
開発本部本部長。
1981年にユーシン入社後、一貫して技術畑を歩んできた。
新経営陣をバックアップしていきたいとコメントする。

平尾英司●電子設計課1係長
開発本部第三設計部。ユーシン労働組合中央執行委員長を務める。

 
 

(小川 聡、田辺慎司=撮影)