私は仕事柄さまざまな地方経営者の方とお会いします。若い世代、女性が次々と就職希望を出す企業と、そうでない企業との差は大きく、前者はまれです。
人材が集まる企業はちゃんと男女共にキャリアアップできるように、老舗企業であってもブランド・マネジメント職などを採用して新規事業に取り組んでいます。手取りの少ない若い世代に向けて社宅などの福利厚生を整備し、オフィス環境もデザインに配慮しています。若者、女性にフレンドリーな体制を築いているのです。
先程指摘した女性流出県である愛知県においても、若い世代の人材獲得に成功している老舗企業があります。室町時代にルーツを持つ麹種会社「糀屋三左衛門」(豊橋市)では、元々は応募ゼロだった営業事務などの仕事を刷新。社長直轄の新規事業部門を立ち上げ、社内制度も大幅に刷新し、キ
社長が
都内であればベンチャーのような中小零細企業の部類でも、当然ながらこのような工夫をしています。つまり資本力の問題でもなく、そこが重要だと思っているかどうかの違いなのです。
地方企業ではお茶くみ、制服、スチールのデスクなど昭和な体制を続けている企業もあります。いまだに男性社員の結婚相手を確保するくらいの気持ちで女性を採用している企業もあるのです。
そういう企業では、社長が「骨を埋める覚悟はあるのか」と社員に迫まり、若い男性すら逃げていったりします。しかし、地域内ではこの手の社長のほうが影響力が大きい場合があるのです。
人口減少対策は、移住定住促進では不十分だ
国単位での急激な人口減少は食い止められる段階をとうの昔に超えています。いまさら国費をかけて、自治体間で人口の取り合いをしても不毛でしかありません。
一方で、人がいなくなったら地域は終わりか、といえばそんなことはありません。高付加価値商品・サービスを持つ少人口地域が生き残るケースは世界各地に存在します。
地方企業が、20~24歳の女性たちにキャリア形成が可能だと思われるようなフェアな条件を持ち、夢があると感じてもらえる新規事業を地域で作り出すことは、単に人口流出対策ではなく、少人口でも適切な成長を果たすための第一歩になるでしょう。