人口の東京一極集中が続いている。地方は若い世代や女性の流出に歯止めがかからない。まちづくりの専門家である木下斉氏は「コロナ禍で地方に人が戻ると考えるのは幻想だ。特に20~24歳の女性に、地方は見切りをつけられている。その原因は、地方には女性がキャリアアップできる仕事がないからだ」という――。
当事者不在の会議で問題解決は困難
最近、森喜朗さんの発言が話題になりましたが、地域関係の会議もいまだ女性比率、若者比率は少ないものです。
事務局配慮により若者と女性が意識的に委員に入れられることもありますが、あくまで一部。女性枠、若者枠なんて言われ方をするくらいであり、マイノリティー扱いです。主体は学識として大学教授、各業界団体のトップなどです。結局高齢の男性であることが多いため、会議写真をみれば白髪の方々が並ぶことになります。
高齢男性が悪いとはいいません。彼らが覚悟をもって決めるべきこともあります。が、こと人口流出、少子高齢化などについては、地域を離れて上京した当事者たる若者や女性から話を聞かずして、どうして解決ができるか、と思うのです。
当事者がいない中で、課題解決を図ることなどはできないのです。さらに出ていく人たちが考える地域の課題すら解決できなければ、外から若者や女性にその地域に来ていただくことも難しいのは言うまでもないのです。
地域の変革よりも、棚ぼたを期待する人たち
昨年のコロナ禍の流行が始まった頃に「もう過密の東京は危険だから一極集中は終わる。そうすれば地方に人が流れてくる」といったような大変都合のよい幻想を抱く方がかなりいました。