スピード感を持って仕事に取り組むこと(=“量”は“質と信頼”を生む)

大塚製薬に入社時、私は「ITのヘルプデスク」の部署で仕事をしていました。簡単に言うと社員がコンピューターを使っていて、何か困ったことがあった時に、それを解決してあげる部署です。

ヘルプデスクの仕事と企業のビジネスの共通点は「個人や社会の課題を解決する」ことです。現在はコンピューターがないと仕事ができません。ヘルプデスクには、問題をいち早く解決することが求められます。ビジネスも同様で、顧客や社内が抱える課題の解決について、早ければ早い方が喜ばれます。他社、他社員より仕事が速いと、次からも指名してもらえるようになります。仕事が速いと、1日にできる仕事の量も増え、やればやるほど、経験が積めるので質が上がるようになります。

気が付けば同僚より仕事の量は多いかも知れませんが、社内外から「仕事が速くて、質がいい社員」との信頼を得られるようになります。信頼されてスピーデイに仕事ができていると、仕事に対するやりがいや達成感を得られ、いいコンディションで仕事に向かえる好循環が生まれます。

今、目の前にある仕事のスピードを上げて、アウトプットしながら仕事の質を高めていく努力をするのが第一のルールです。

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仕事の最終形をイメージしてから取り掛かり、必ずやり切ること

私は、仕事に取り掛かる前に、顧客が満足するベストな状態のアウトプットをしっかりイメージするようにしています。ヘルプデスクではパソコンの不具合を解決するだけでなく、問い合わせてきた社員が何をしたくて困っているのか、その課題を解決するまで向き合いました。

どんな仕事もゴールが設定されていると思います。コロナ禍の現在、リモートワークで気軽に社員やお客さまとミーティングできない中、ゴールの共有はメールやスラックなどの活字だけでなく、図やイメージ画像などで共有することもお勧めです。イメージを具体的に共有してからスタートした仕事はゴール時に「思っていたのと違う」「発注した内容と変わっている」などのトラブルを避けることができます。

次に、一度始めたら、そこから先は必ずやり遂げるという強い意志が重要です。やり始めると新たな課題や不具合に出合うことはままあります。時には諦めたり、最初に共有したゴールの形から安易なものに変更したりという逃げ道も考えがちです。しかし、やり切る事に固執してほしいのです。

計画も努力も止めてしまうと、すべてがそこで無に帰してしまいます。もちろん、社内、顧客ともゴールの変更が必須という意見の一致があった場合は別です。

できるだけ、最初に共有したイメージの最終形まで近づけてひた走ること。それは自身のためにもなります。やり切った後には共に仕事した仲間との信頼も増し、自己肯定感も高まります。