「断ったら、個人情報をネットにさらすぞ」

不安で不安で胸が押しつぶされそうだった。でも親には相談できない。

「許してもらいたければ、早く裸の写真を送れ! どこに住んでいるか、名前も中学校名ももうわかってるんだよ!」
「断ったら、お前の個人情報をネットにさらすぞ」

文面がどんどんエスカレートして、恐怖で震えながら裸の自撮り画像を1枚だけ送った。「ごめんなさい。許してください」というコメントをつけて。

とりあえずほっとした。少し怖いけど写真は送ったんだから、すぐ削除してくれるはず。

ところが……‼

その後、私の画像がネット上で公開されていることがわかった。

「JC自撮りエロ画像」というタイトルがついて。

それは、私が画像を送った男の人が、別のわいせつ事件で逮捕されたことで判明した。その人のスマホには、数百枚の女の子のわいせつ画像が入っていたそうだ。

そして恐ろしい手口もわかった。

掲示板のやりとりで、私を心配してくれた女子中学生は、犯人がなりすましたものだった。別のスマホを使って、女子中学生のふりをして私を不安がらせ、写真を送らせたのだ。

お父さん、お母さん、ごめんなさい……。

私の画像は、今もSNS上に残ったままになっている。

写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです

自撮りの被害者のうち5割が中学生

2019年に警察が特定した児童ポルノ事件の被害者は過去最多の1559人。4年連続で1000人を超えています。

なかでもSNSで知り合った人などから、裸や下着姿の写真を送信させられる「自撮り」が増えています。

自撮りの被害者で最も増えているのが中学生で、全体の5割を占めています。

しかし、これは氷山の一角。警察に届け出をしていない件数を考えると、この件数は数倍にはね上がるのではないかと思います。

とくに中学1年生は注意が必要です。今まで親のスマホを使っていた子どもが、初めて自分のスマホを持つことになるケースが多いからです。まだスマホに慣れていなくて、スマホの危険性を知らされる前に被害が相次いでいるからです。

中高生の投稿にはあまりにも無防備なものが多いと感じます。子どもは親に比べれば、ずっとSNSに慣れています。でも、SNSに慣れていることと、警戒心の強さは比例しません。慣れているからこそ、危険性には鈍感になる可能性もあります。