ギャップが大きいほど、コンテンツ力が上がる

【寿司】楽しい店の3つめの条件はなんですか?

【大将】意外性。毎回新たな発見があることかな。何度来ても、見たことがない、食べたことがないといった、未知との出会いがあるお店でいられるように意識しているよ。さっきも言ったけど、僕自身が飽き性ですから(笑)。

【寿司】私もどちらかというと飽き性なので、ひとつでもいいから初めての体験をさせてくれる寿司屋は大好きです。ほり川スペシャルの中でも、エンガワのしゃぶしゃぶ鍋、空芯菜の握りにイチゴやシャインマスカットの握りなど。食べる前は、正直「奇をてらっているだけでは」と思っていましたが、すごくおいしかったです。まさに、意外性のオンパレードでした(笑)。

提供=寿司リーマン
見たこともない料理や寿司が多く、それでいておいしい。わざわざ足を運びたくなるお店には、理由があるのだ。

【大将】そう言ってもらえてうれしいね。ちょっと前までは、亀の手をツマミに出していたんだけど、お客さんが口をそろえておいしい、楽しいって言ってくれて。亀の手なんて食べた事ないでしょ?

【寿司】食べてみたいです! 意外性って、ギャップの大きさに比例すると思うんです。例えばシャインマスカットの握りを、フレンチシェフが作ったのだとしたら、意外性はあるにはあるけど、ギャップは弱いですよね。「73歳」「寿司職人」「シャインマスカットの握り」という、一般的なイメージとはかけ離れたものによる組み合わせ。このギャップの大きさこそが、お客さんの心をつかむのでしょうね。これは寿司屋に限らず、“人々の心を動かす企画術”としてもすごく学びになりますね。

完璧だとウケない

【大将】アンバランスだからこそ面白いんだよね。完璧はウケない。

【寿司】完璧はウケない……。深い言葉ですね。

【大将】でも、「完璧じゃない」ってすごく難しいんだよ。このバランスが大事。ちなみに、手元を見てごらん。鮨 ほり川のロゴである「ほ。」の文字が書かれているでしょう?

【寿司】よく見ると、「。」の部分が欠けていますよね⁈

撮影=寿司リーマン
「鮨 ほり川」のロゴ。あえてアンバランスなデザインにする遊び心もまた、寿司屋の細かい“粋な演出”だ。

【大将】Apple社のリンゴのマークって欠けているでしょう? 絶妙なアンバランス感でオシャレだよね。鮨 ほり川は、スティーブ・ジョブズよりも早い時期からこの手法を取り入れていますから(笑)。

【寿司】(笑)。スティーブ・ジョブズよりも最先端をいく73歳の寿司職人。これまた強烈な言葉で、堀川さんのキャラクターが際立ちますね!

【大将】その代わり、1つめの条件でも言ったように「おいしい」というのは大前提。おいしいものにほんのり遊び心を加えることで、「楽しい」を提供したいね。