「国際社会は外交努力で軍の権力奪取を撤回させよ」と朝日社説
2月2日付の朝日新聞は「民主化覆す軍の暴挙だ」との見出しを付け、こう書き出す。
「民意を踏みにじる暴挙である。日本を含む国際社会はあらゆる外交努力を尽くし、軍の権力奪取を撤回させるべきだ」
朝日社説が指摘するように、ミャンマー国軍のクーデターは暴挙そのものである。
朝日社説は書く。
「この日は本来、昨年秋の総選挙後初の国会が開かれ、新たな政府の顔ぶれを決めるはずだった。その手続きが国軍の独断によって覆された。断じて認めることはできない」
「選挙では、アウンサンスーチー国家顧問が率いる国民民主連盟が、改選議席の8割以上を得て圧勝した。スーチー氏が、事実上の政権トップに再任されるのは確実だった」
「この日」とは国軍が政権奪取をはかった2月1日のことである。朝日社説は「断じて認めることはできない」などと強くミャンマー国軍を批判する。皮肉ることが好きな朝日社説だが、今回のように強い表現でストレートに主張するのは珍しい。それだけ今回のクーデターは許されざる暴挙なのだ。
日本や欧米がひとつになって中国にものを言うべきだ
朝日社説はミャンマーと中国の関係をこう指摘する。
「東南アジアでは近年、民主主義の後退が目立つ。タイで軍事クーデターが起き、カンボジアでは野党が解散させられた。背景には、人権や民主化などは求めずに支援をふりまく中国の影響力の広がりがある」
「ミャンマーには昨年、習近平氏が国家主席として19年ぶりに訪問した。経済協力と共に『運命共同体の構築』をうたうほど、両国関係は緊密だ」
前述したように、中国はミャンマー国軍とスー・チー氏のNLD(国民民主連盟)の両方を取り込みながら自国の利権確保を続けてきた。
すでに中国はミャンマー国軍と強く結び付いている。ミャンマー国軍が中国製の対艦ミサイルや戦闘機など兵器の半分を中国から輸入していることもそれを裏付ける。
朝日社説が書くようにタイやカンボジアでも中国の影響力が色濃くなっている。自国の繁栄しか念頭にない中国の進出に歯止めをかける必要がある。そのためにも日本や欧米の民主国家がひとつになって中国にはっきりものを言うべきなのである。
最後に朝日社説はこう主張する。
「日本も民主化の後退を座視せぬ決意を強く打ち出し、国軍への説得に動くべきだ」
「座視せぬ決意」と分かり難い表現を使っているが、要は日本も国際社会の一員としてミャンマー国軍に働きかけるべきだと訴えているのである。