「すみやかな辞任を求める」と朝日社説

朝日社説の書き出しはこうだ。

「そうでなくても懐疑論が国内外に広がるなか、五輪の開催に決定的なマイナスイメージを植えつける暴言・妄言だ。すみやかな辞任を求める」

「暴言・妄言」と言い切って辞任を要求する。しかも「すみやかな」である。書き出しからこう強烈に主張するところなど、保守的思考や古い考え方を厭う朝日社説らしい。

森氏の謝罪と発言の撤回を書いた後、朝日社説は指摘する。

「それで許されるはずがない」
「こんなゆがんだ考えを持つトップの下で開催される五輪とはいったい何なのか。多くの市民が歓迎し、世界のアスリートが喜んで参加できる祭典になるのか。巨費をかけて世界に恥をふりまくだけではないのか。疑念が次々とわいてくる」

「許されるはずがない」「ゆがんだ考え」「世界に恥をふりまく」と手厳しい指摘である。批判の矛先は森氏だけではなく、五輪にも向けられている。

写真=iStock.com/Ryosei Watanabe
※写真はイメージです

菅首相や小池都知事まで批判するが…

さらに指摘は続く。

「にもかかわらず組織委の会長がその取り組みを揶揄し、女性理事ひいては女性全般を侮辱したのだ。責任は極めて重い」
「問われるのは森氏だけではない。発言があった際、出席していたJOCの評議員らからは笑いがおき、たしなめる動きは一切なかった。山下泰裕会長以下、同じ考えの持ち主と受け取られても言い訳できない」
「菅首相は『あってはならない発言』と述べたものの、森氏の進退については言及を避けた」
「開催都市の女性首長である小池百合子都知事の見識も問われる局面である」

朝日社説の批判の矛先は組織委とJOC、そして菅義偉首相や小池百合子都知事にまで向けられる。組織委とJOCは当事者だが、菅、小池両氏まで批判の範囲を広げなくともいいと思う。この際だから体制派をすべてやり玉にあげたいのだろうか。それでは批判が本質からずれてしまう。