不動産投資で5億円の借金が残ったケースも…

それぞれの投資には、それぞれに成功している人やプロの人がいます。その人たちに聞けば、自身が手掛けている投資を勧めると思います。筆者の場合は株式投資で成功していますから株式投資を勧めることになりますが、それは決してえこひいきしているわけではなく、株式投資が投資初心者に向いていると本心から思っているからなのです。

例えば、不動産投資の最大のネックは、「かなり大きな資金が必要なこと」「借り入れをしないと資産を大きく増やせないこと」です。

不動産投資で成功している方は、借り入れをして資金調達できることこそが、不動産投資の最大のメリットであると口をそろえて言います。

確かに成功できるような人にとってはそうなのでしょうが、でも借り入れは借り入れです。借りたものは返さなければなりません。

もし物件の目利きがうまくできず、その結果賃料も想定通りに入らず、売ろうとしても買った値段よりかなり安くないと売れない、そのため物件を売却しても借金が残ってしまう……、これが不動産投資で失敗する典型的なパターンです。

筆者も、バブル期に借り入れをして不動産投資をした結果、50億円あった資産が全てなくなり、5億円の借金が残った、というケースを実際に目にしています。

不動産は扱う金額がかなり大きいことと、失敗した場合、多額の借金が残る可能性があるため、一度大きな失敗をすると再起不能になってしまいます。投資初心者がしっかり勉強もせず、いきなり借金をして不動産投資をするのはかなりリスクが高いのではないかと思います。

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FX投資は短期売買になりがちでせわしない

個人投資家の間では、株式への投資ではなくFX投資を始める、という声もよく聞きます。

FX取引は、レバレッジをかけないとほとんど動きがないので、高いレバレッジをかけて運用します。しかしその結果、短期的な為替の変動要因により、大きな損益が一瞬にして生じることも多々あります。

そして為替市場は24時間動いています。日本のマーケットが閉まって日本が夜中の時間であっても、米国のマーケットが開いているため、いつ大きな為替の変動が起きてもおかしくないのです。落ち着いて寝ることもできないからFX取引をやめた、という人も少なくありません。そのためFX投資は、じっくり長期間ポジションを持ち続けるというよりは、デイトレードやスイングトレードのように短期間で完結させることが多くなります。特にデイトレードであれば、ポジションを有している間は、基本的に為替の動きを見ている必要があります。

もちろん、ロスカット注文(「ここまで下がったら損失が出ても売る」という損切りの注文)などを事前に入れておけば、四六時中パソコンの前に張りつくことは避けられますが、それでも短期間に取引を完結させることには変わりないですから、結構せわしないと思います。そして株式投資と異なり、FXはどちらかがプラスになれば、もう片方は同じだけマイナスになるというゼロサムゲーム(投資参加者の利益と損失の総和がゼロになること)ですから利益が得にくいです。ちなみに株式投資は企業価値が上昇すれば株価も上がりますからプラスサムです。株式投資の方がFXより利益を上げやすいと思います。

レバレッジ
自らの元手を担保に資金を借りるなどして、元手以上の取引を行うこと。FXでは最大、元手の25倍の金額を投資できます。
デイトレードやスイングトレード
1日の取引時間中(日本の株式市場の場合、午前9時から11時30分までの前場と午後12時30分から15時までの後場)に、何度も短期的な売買を繰り返すのがデイトレードです。数日から数週間程度の値動きを狙って売買する取引は「スイングトレード」と呼ばれます。