「思わず本音が出てしまった」森本孝関電社長の一言

その県外候補地の提示期限が昨年末だった。慌てた関電が経産省と協議し、ひねり出したのが電事連による共用化案だ。

「共同利用の検討に積極的に参画したい」。電事連や経産省の幹部が青森県を訪れた同じ日、都内で会見に臨んだ関電の森本孝関電社長は力を込めてこう発言した。高浜原発などの再稼働を急ぐ中、「思わず本音が出てしまった」(電事連幹部)。この発言に、地元は「事前に何の面会にも報告にも来ていない関電が電事連の後ろに隠れる形で核のゴミをむつ市に押しつけようとしている態度は到底承服できない」(むつ市幹部)と反発。怒りの火に油を注いだ格好になった。

関電以外の電力各社は東電HDがむつ市の同施設を建設しているように、独自に中間貯蔵施設を保有している。「共用案」が関電の支援策ではないと強調するはずの電事連会長の九州電力の池辺和弘社長も、記者団からの追及に「九電は独自の施設をもっている。むつ市の施設を使うかどうかは電力各社の判断次第だ」と最後は関電を突き放すような発言に終始した。

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「2020年を念頭に示す」と改めて約束していたのに…

関電は青森県・むつ市からの反発を受け、結局、この会見の翌日に訪れた福井県との面談でも関電の松村孝夫副社長は、使用済み核燃料の県外移設候補地の提示を断念せざるを得なかった。

そのため、応対した櫻本宏副知事も「約束が守られず誠に遺憾。明確な報告がない今の状況では、原発40年超運転をはじめ、原子力のさまざまな課題の議論を進めることはできない」と厳しく関電を批判した。

関電の使用済み核燃料の移設問題は以前からの課題だった。むつ市の中間貯蔵施設を巡る混乱も、実は今回が初めてではない。2017年も同じような事態が起こった。

同年11月に西川一誠知事が関電の岩根茂樹社長(いずれも当時)から「2018年中に具体的な計画地点を示す」との説明を受け、大飯3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に同意した。しかし、関電は18年12月になっても具体的な地点を示せず、岩根社長本人が西川知事に謝罪のうえ「2020年を念頭に示す」と改めて約束していたのである。