「経済活動」と「社会の豊かさ」を同調させる
すでに第一章で確認した通り、私たちの社会は、200年にわたって続いた熾烈な文明化の競争、効率化への強迫から、ついに解放され、さらなる上昇を求められることのない穏やかな高原社会に到達しました。
このような高原社会において、かつて私たちが経験したような高成長を志向すれば、それは必然的に非倫理的な領域への侵犯を伴うことになってしまいます。このような社会において、私たちの経済活動は、文明的な便利さを向上させることから、文化的な豊かさを向上させることへと転換し、経済活動と社会の豊かさの増進を同調させていくことが求められます。
「3つのイニシアチブ」で確実に社会は変わる
さて、ではコンサマトリーな高原社会を成立させるためには、私たちは今後、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。
基本は次の三つとなります。
イニシアチブ1:真にやりたいコトを見つけ、取り組む
イニシアチブ2:真に応援したいモノ・コトにお金を払う
イニシアチブ3:(1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入
社会変革というにはあまりにも些末な取り組みのように思われるかもしれませんが、私は、これらのイニシアチブを一人ひとりが実行していけば確実に社会は変化していくと考えています。現在の私たちに必要なのは、システムを根底からぶっ壊すようなショックではなく、さなぎの中でイモムシが一度溶け、それが静かに蝶へと変わるようなしなやかで美しい変化です。なぜなら、現在の状況を生み出しているのは、知らないところにいるどこかの誰かではなく、当の私たち自身だからです。