ほとんどの保険は入っても無駄

現金のよいところはお金に色が付いていないことです。保険はその目的にしか使えませんが、預金であればどんな目的にも使えます。すなわち貯めておきさえすれば、使い途は後からゆっくり考えることができるというのが、現金・預金のメリットなのです。

写真=iStock.com/takkuu
※写真はイメージです

定年後には想定外の一時出費が生じることもあります。自宅のあちこちが壊れて修理したり、元気だったのが急に病気になって入院したり、そして認知症リスクも年齢と共に高まってきます。

そんな時に必要なのは、保険ではなくて現金なのです。現役時代の生活の発想を切り替え、無駄を無くすこと、特に大きな無駄は保険ですから、本当に必要な保険以外は見直すべきでしょう。

ではいったいどんな保険が本当に必要な保険なのか? 私が入っている三つの保険を次の節でお話ししながら、どういう場合に保険が必要かをもう一度しっかりと考えてみるようにしましょう。

それでも入っておくべき3つの保険

私は保険というのは人類が考えた仕組みの中ではとてもよくできたものだと思いますし、保険によって助けられることはたくさんあります。

ただ、多くの人は保険について間違った使い方をしていたり(保険を貯蓄のように使う)、あるいは不要な保険に入ってお金を無駄にしたりしています。したがって私はそういった無駄な保険はやめるべきだと思っています。

が、そんな私が入っている保険が3種類あります。ちなみに私は年齢が68歳で、執筆と講演を主な仕事とし、株式会社オフィス・リベルタスという会社の代表取締役を務めています。会社と言っても社員は私以外には妻ひとりだけなので、どちらかと言えば個人事業主に近いと言った方がいいでしょう。

そんな私ですが、生命保険も医療保険も個人年金保険も一切入っていません。ではいったいどんな保険に入っているのでしょうか?

それは次の三つです。

①社会保険
②自動車保険
③火災保険(地震保険付き)

私がなぜこの保険に入っているのか、そして保険というものの本質も併せてお話をしたいと思います。

社会保険には色々ありますが、私が入っているのは①厚生年金保険、②健康保険(協会けんぽ)、そして③介護保険です。これは自分で選んで入っているというよりも、義務なので入らざるを得ません。わが国の場合、国民皆保険、皆年金ですから、原則、一定の期間は誰もがこの制度に加入することが必要です。

そしてこれらの保険に加入しているので、私は民間の保険会社の生命保険にも医療保険にも個人年金保険にも一切入っていないのです。なぜなら、これらの公的な社会保険で十分だから、そして明らかにこちらの方がお得だからです。