恋愛やセックスについて、友人より親とよく話す

僕のような昭和生まれの世代にとっては考えられないことですが、恋愛やセックスについても「友達より親とのほうがよく話す」という若者もいます。親なら話した内容をSNSに載せることもないし、100%自分の味方だから一方的に非難されたり批判されたりする心配もないのだそうです。

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僕が若かった頃は、友人とは恋愛話をしても親とするなんてありえないことでしたが、今はこれが逆になっているようです。友達にうっかりカッコ悪い姿を見せると「さらされる」可能性があるけれど、親なら安心。そんな思いが、Z世代の親子仲を密にしているのではないでしょうか。

先日、僕はZ世代を対象に、2020年で印象に残った広告を調査しました。驚いたことに、そこで挙がったのは僕にとっては「親子過剰コミュニケーション」としか思えないCMばかりだったのです。

アラフォー世代には違和感のある人気CM

例えば、彼らが挙げたある電子決済サービス会社のCMは、デート中の娘を見かけた父親が、デート資金にとその場でこっそり電子マネーを送るというものでした。送られた娘は喜んで、父親に感謝しながら電子マネーを使うというストーリーでした。

僕だったら、デート中の姿を父親に見られただけでも恥ずかしいのに、なおかつお小遣いを送るなどというアクションを起こしてくるなんて「気持ち悪い」としか言いようがありません。しかし、Z世代にはこれが「なんていい父親なんだ」と映っているようなのです。

もうひとつ、若者たちが挙げたCMにはお風呂を舞台にしたものもありました。昔は一緒に入浴していた父娘が、娘が成長して別々に入浴するようになり、それぞれが一人で湯船に浸かりながら互いを思い合うというストーリーです。

娘は、一緒に入浴していた頃を懐かしく思い出しながら、次に入浴する父親に向けて、湯船に浮かべた柚子にメッセージを書きます。次に入った父親はそれを読んでホロリとする──。そんな親子関係を描いたCMでした。