大きな値下がりが予想される東日本橋・馬喰町エリア

中央区は名前は「中央」だが、区域はほぼ山手線の外側である。

しかし、中央区内には何といっても銀座と日本橋がある。江戸期までは街の中心が日本橋だった。明治以降、それが銀座に移ったが、どちらも日本を代表する商業エリアであることに今でも変わりはない。

そして、銀座や日本橋の中心エリア、つまり中央通りに近いところにはマンションがほとんど供給されない。それは今から2050年にいたる期間でもそうだろう。

銀座や日本橋エリアでマンションが供給されているのは、昭和通りよりも東側エリア。特に東日本橋・馬喰町などのエリアは、問屋街の面影を今も残している。

今後、問屋という業態は衰退することが確実で、それはこれまでの30年も同じだった。だから問屋だったビルはどんどんマンションに生まれ変わってきて、今後もその傾向は進んでいくだろう。

そのせいで中古マンションは、今までもこれからも供給過剰状態だ。コロナ後のマンション価格はかなり弱含みだと考えたほうがいい。

この昭和通り東側エリアも、2050年頃には一人当たりGDPの半額、もしくはそのもう少し下あたりが中古マンションの坪単価相場になると思う。現状の感覚なら、坪単価200万円前後だ。今よりもかなり値下がりする。

五輪バブルに便乗した湾岸エリアのマンション群

中央区には、この他に築地と八丁堀エリアがある。ここも昭和通り東側エリアに準じた動きになるだろう。同区内の問題は、勝どき、晴海、月島、佃といった湾岸エリアである。

榊淳司『ようこそ、2050年の東京へ 生き残る不動産 廃墟になる不動産』(イースト新書)

これらのうち、佃の一部以外は明治期以降の埋め立てで陸地になった。月島と佃は早くから開発されたので、街並みが整った感じがする。ここ15年ほどで急速に開発されたのが勝どき。ここ5年でタワマンが林立したのが晴海だ。

こういった埋立地のマンション価格は、本来昭和通り東側エリアよりも安くていいはずだが、2013年以降の局地バブルで同レベルか、それ以上にまで値上がりしてきた。今後2050年に向けて、それがゆったりと調整されるはずだ。

特に選手村跡地に予定されていた晴海フラッグというマンション群は、そもそも交通利便性が良くないのに、五輪に便乗したイメージ戦略で新築分譲価格を高く設定しすぎている。

あの地域が2050年にどうなっているのか考えると、私はぞっとする。どの駅にも歩いて行けない埋立地のマンションが、いったいどのような30年の歴史をきざむのだろう。

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