効果は「時間との勝負」

アフターピルの最大のポイントは、性交渉後の服用が早ければ早いほど高い確率で妊娠を避けられること。性交渉から24時間以内に内服すると95%、25~48時間以内は85%、49~72時間以内は58%と、時間が経つほど確率が下がっていきます。アフターピルの効果は、時間との勝負といえるのです。

現在は医師の処方が必要なため、アフターピルを手に入れるには、産婦人科の受診が必要です。しかし、一刻を争う状況で産婦人科に行かなければならないのは、あまりにハードルが高いと言わざるを得ません。

WHO(世界保健機関)も「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利がある」と勧告しています。このため何年も前から、産婦人科有志や市民団体が、アフターピルをオンライン診療や薬局で手に入れられるよう運動をしてきました。

その成果が実り、コロナ禍をきっかけに、初診であってもオンライン診療でアフターピルの処方が受けられるようになりました。

しかし、薬局での販売は日本産婦人科医会などの反対もあり、議論は盛り上がってきたものの、実現へはまだ道半ばといったところです。

撮影=プレジデントウーマンオンライン編集部
アフターピルについて話す産婦人科医の宋美玄さん

誰もが必要になる可能性がある

なぜ薬局でアフターピルを買えたほうがいいのでしょうか。それは、アフターピルが必要になる場面は、女性であれば誰にでも起こり得るからです。

毎日服用する必要のある低用量ピルを飲み忘れたり、コンドームが破れたりはずれたり……といったことは誰にでも起こり得ます。別に、本人に重大な落ち度があるわけでも、責められるべきものでもありません。道を歩いていたら転ぶかもしれないし、家にスマホを忘れて出かけるかもしれない……その程度のことです。

必要な時にすぐアフターピルを手に入れることができず、「妊娠していたらどうしよう……」とハラハラしながら過ごすのは、女性にとって本当に辛いことです。何の手立てもないという状況は、変えるべきだと思います。

また、性暴力の被害者にとっても、アフターピルへのアクセスは重要です。性暴力の被害にあった女性にとって、警察や病院に行くことはまだ抵抗感が強く、政府の調査によると、警察や医療関係者、ワンストップ支援センターに相談した人は数パーセントにとどまります。支援センターの周知も重要ですが、アフターピルが薬局で入手できれば、緊急避妊だけでもできるようになります。