頼みのメガバンクはすでに雇用の受け皿機能を喪失
コロナ禍の影響を抜きにしても、毎年1000人を超える大量採用で鳴らしてきた3メガバンクは、マイナス金利下での収益低下からコロナ禍前からすでに新卒採用の抑制を打ち出してきていた。そのため、学生からの就職人気ランキングも急落し、雇用の受け皿としての機能はもはや失っている。
半面、コロナ禍によって勢いを増すデジタル化の流れや次世代通信規格「5G」、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応を捉えて、デジタル関連企業で新卒採用を増やす動きは、一定の受け皿になる。
しかし、「コロナ禍不況」が長引くようなら、新卒採用を抑え込む流れは、より幅広い業種で加速せざるを得ない。
こうした状況に対して、「GoToトラベル」「GoToイート」といった「GoToキャンペーン」の需要喚起策をとり続け、感染拡大阻止より経済を優先してきたとみられている菅政権は、「第2の就職氷河期世代は作らない」(加藤勝信官房長官)とする。だが、現実には効果的な施策を打ち出せていない。
結局は経団連、経済同友会、日本商工会議所をはじめとする経済団体への要請を通じて、民間の努力に期待するより打つ手はない。このままでは、政府がいかに否定しようとも、「就職氷河期の再来」は避けられないだろう。