「現地現物で理解しなければ書けない」
noteで始まる『トヨタ物語―ウーブン・シティへの道』は以上のような内容になる。
前作『トヨタ物語』とは違い、トヨタの現在とこれからについての物語だ。そこには共通するものがある。それがトヨタ生産方式だ。トヨタの仕事にはつねに同方式と「カイゼン」と原価の低減がついてまわる。
流れをスムーズにして、「ジャスト・イン・タイム」で仕事を遂行する。
不良品を出さないよう「自働化」する。少しずつ現状を変えようとカイゼンを重ねる。そうして、原価を低減させていけば仕事は赤字にはならない。
そして、彼らは必ず「現地現物」で評価している。現地現物で彼らが注視するのは仕事の成果ではない。成果を見て、満足するために現地へ行き、現物を見るわけではない。
現地現物とは、みずからの弱点や足りないところを見に行くことだ。個人のことに換算すれば自分の至らないところ、みにくいところを直視することができるかという勇気の問題だ。
自分のいいところばかりを見ていたら、カイゼンにはならない。現地現物とはただ旅をして、現地へ赴くという意味ではなく、自分の弱点を認識するための勇気を持てるかどうかという話なのである。
(文中敬称略、note「トヨタ物語 ウーブン・シティへの道 第1回 すべては東富士工場から始まった」に続く)