趙氏がこれほど好戦的に振る舞う本当の理由

12月1日付の記事「『第二の尖閣に』日本海のスルメ漁場を荒らし回る中国漁船の厚顔無恥」でも指摘したように、中国は日本に対しても沖縄・尖閣諸島の周辺海域で船舶の航行を繰り返したり、スルメイカやカニの好漁場として知られる日本海の大和堆で違法操業を続けたりしている。そのうち中国は国際社会から相手にされなくなり、孤立状態に追い込まれるだろう。

それにしてもなぜ、中国外務省の趙氏はこれほど好戦的なのか。

趙氏には「戦狼(せんろう)」というあだ名が付いている。戦狼は中国国内で大ヒットしたアクション映画『戦狼(ウルフ・オブ・ウォー)』(2017年)に由来する。この映画は中国軍元特殊部隊の兵士がアフリカで同胞を救う活躍を描いている。中国版『ランボー』である。

趙氏のような好戦的外交は「戦狼外交」と呼ばれ、中国にはこうした外交官も多い。中国国内では彼らを「狼の戦士」と評価し、中国政府は「中国が従順な時代は終わった」と判断している。趙氏はあだ名を名誉に感じ、さらに好戦的外交を続けているのだ。

だが、沙鴎一歩は一方的に下品な批判を繰り返す趙氏のどこがランボーなのかと思う。シルヴェスター・スタローンも怒っているに違いない。

大国外交の象徴として戦狼外交が評価されるようになった

中国政府の指摘する従順な時代とは、かつてのアヘン戦争で負けて以来、「東亜病夫(東洋の病人)」といわれ続けた時代を指す。

好戦的外交への路線転換は、2008年のリーマン・ショックで中国が「4兆元(57兆円)の景気対策」を取ったことで世界経済が救われたという自信に基づく。習近平(シー・チンピン)政権は「大国外交」を掲げ、経済・軍事の力をバックにアジアからアフリカへと「一帯一路」構想を推し進めている。習国家主席は「大国外交で新たな国際関係を築く」と語り、大国外交の象徴として戦狼外交が大きく評価されるようになった。しかしながらアメリカ・トランプ大統領の自国第一主義と同じく、自らの国益だけを追求する中国の行動は、国際社会との間に大きな摩擦を生じさせる覇権主義に他ならない。日本をはじめとする国際社会は中国の卑劣でかつ愚劣な政策を決して許してはならない。

12月2日付の産経新聞の社説(主張)は「『偽画像』ツイート 中国は悪質な宣伝やめよ」との見出しを掲げてこう訴える。

「緊張関係にある豪州を根拠の示せない画像で貶めるのは公正でなく、悪質な宣伝といえる。中国政府は趙氏の投稿を謝罪し、画像を削除しなければならない」