日本人気と合致する日本株の上昇サイクル

日本株はただ割安だというだけではなく、クオリティが高いのが魅力です。「バリュー株」というと「割安株」と理解されますが、クオリティを伴っているから投資対象として評価されるのです。19世紀後半にヨーロッパを中心に、日本の浮世絵や陶磁器、生活様式や美意識などが注目された「ジャポニズム」が流行したことがありました。そして、この日本人気の時期と日本の株価の上昇サイクルは一致しています。最近また、世界的な日本人気が高まり始めています。今度はマンガやゲームなどの日本文化が注目され、日本のソフトパワーが勢いを増しています。私はこれを「ネオ・ジャポニズム」ととらえていて、「新しい日本人気」「ジャポニズムの再来」に伴って、日本株の人気も高まると見ています。

また、今回のコロナ禍で「安心・安全・安定」という日本の魅力が評価されるようになるでしょう。これまでは「グロース=成長」が世界的なテーマで、そのためには環境や国民の生活など、いろいろなものを犠牲にしてきたという流れがあります。

しかし、これからは成長にこだわらずに環境や社会を守ろうという価値観に変化していきます。日本の強みである「安心・安全・安定」は世界的なテーマになっていくでしょう。日本は、個々人の衛生意識=パーソナルハイジーンが極めて高く、人々はルールを守り、秩序を保って動きます。そして、世界最高のインフラを持っていることを考えると、実は世界でいちばん生活しやすい国の1つじゃないかと思っています。

そのことは、世界第1位の平均寿命からも明らかです。最近は人生100年時代が当たり前に語られますが、そこまで長生きできるのは生活の質が高いから。食文化、生活スタイル、やさしい国民性など、いろいろなところが日本の再評価につながっています。

4つのテーマに注目、これから上がる日本株

今後、上昇が期待できる日本株のテーマは、大きく4つに分けられます。

まず、米中対立で恩恵を受ける業界。米中対立の激化とともに、日本企業のビジネスが増加します。5Gやその先の6Gの開発も進むIT・通信関連でNTT、NECなどが注目です。また、防衛産業も期待できます。ジェットエンジンなどの開発技術を持つ企業は世界的にも限られています。

そういった観点では、重工業系の三菱重工、川崎重工、IHIなどが挙げられます。さらに、戦後の財閥解体から約70年を経て企業名が元に戻った日本製鉄にも注目。やっと日本の敗戦処理が終わり、元の日本に戻った象徴のような出来事です。日本製鉄株は底値からの反転が始まったところ。日本株全体も上昇トレンドに乗り、さらに上がっていく時代に入ったと言えるでしょう。

続いて、コロナで一時的に業績が悪化しているけれども、回復が期待できる銘柄。コロナで大きく売られている日本の航空関連のJAL、ANAなども、日本がこれからアジアの金融ハブ、貿易ハブになっていくだろうという流れを考えると注目されます。Go Toキャンペーンの盛り上がりを見れば、今後はコロナで落ち込んだレジャー・観光関連株も景気が戻ってくるでしょう。JR東日本やラウンドワン、野外レジャーの再評価で追い風を受けるアルペンなどが挙げられます。