2013年に始まった日本株の上昇サイクル
日本の株式市場のサイクルは、約40年間の上昇と約23年間の調整からなっていて、1878年の東京株式取引所開設と、終戦に伴い停止していた株式取引が1949年の東京証券取引所で再開したのを起点に2度起きています。サイクル論から考えると、1989年12月の日経平均最高値から23年7カ月続いた調整期間が過ぎ、2013年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所が統合され、ここから約40年、2053年までは上昇トレンドが続くと予測しています。
さらに、過去2回の上昇サイクルの40年間には、それぞれ株価が297倍、225倍になっています。戦後初期には株価が極端に安値だったことなどを考慮して、1966年から1986年の20年で見ても、株価は約25倍になっています。2013年後半につけた日経平均株価の1万5000円が、20年で20倍になるとすると30万円、25倍になるとすると37万5000円になると計算できます。このことから、私は令和時代に日経平均が30万円になると予測しているのです。
今の日本株の長期上昇サイクルが始まった2013年は、地政学的に見ると新しい冷戦が始まった年です。
私は以前から、日本のバブルが崩壊した背景には、米ソ冷戦の終結が大きな要因の1つになっていると主張しています。冷戦終結によって、それまでグローバル資本が入れなかった中国、ソ連、東欧諸国に投資ができるようになりました。そういった国々は、ポテンシャルも資源もあるのに経済発展が非常に遅れていて、成長が期待できます。当然、グローバル資本は、成熟した日本市場からそちらに流れ、日本のバブルが崩壊したのだと考えています。
その流れが変わったのが2013年です。シリアの内戦が激化し、2014年にはウクライナ危機が始まりました。東西の対立が再開したのです。この「新しい冷戦」では、米中が激しく衝突しています。米ソ冷戦のときは大西洋をはさんだ対立でしたが、米中新冷戦は太平洋をはさんだ対立です。だから、日本は地理的にも非常に重要なポジションを占めることになります。
中国が成熟しきっておいしいところがなくなったうえにアメリカと対立するようになった。今度は、中国から引き揚げたグローバル資本が日本に流れてくることになります。これも日本株の長期上昇サイクルを後押しする要因だと考えています。
また、米中対立のなかで、香港は事実上中国に統一されて、アジアの金融ハブとしての役割を担うことができなくなりました。香港の代わりの候補は日本とシンガポールしかありません。私は、そうなったときには日本がアジアの金融ハブになる可能性が高いと思っています。