古い話で恐縮だが、1968年のダービーも、アサカオー、マーチス、タケシバオーという3強で間違いないと、下馬評ではいわれていた。
だが、3頭が互いに牽制し合っているうちに、タニノハローモアという人気薄の馬にまんまと逃げきられてしまったのだ。
ジャパンカップでいえば、1984年に、前の年の三冠馬ミスターシービーと、この年の三冠馬シンボリルドルフの2強が対決したことがあった。
このときも、両馬が互いに牽制し合っているうちに、カツラギエースに逃げ切られてしまったのである。シンボリは3着、シービーは10着だった。
今年の3強もみな追い込み馬だから、穴を出すとすれば一か八かで逃げた馬になると思う。
「名門」と「雑草」の対決でもある
出走する3歳の三冠馬、コントレイルとデアリングタクトを評して「名門」と「雑草」の対決という向きもある。
コントレイルの父はディープインパクト。残念ながら昨年亡くなってしまったが、競走馬としても超一流だったが、種牡馬としても世界に名をはせている。
一方のデアリングタクトは、北海道にある小さな家族経営の牧場で生まれ、0歳のセリでは買い手がつかず、翌年になってようやく1200万円で落札された。
億の値がつく馬もいる中で、昨今では失礼だが格安の雑草のような馬だが、走ってみれば、並みいる高額馬をごぼう抜きして、ついに三冠馬になった。われわれ世代には、公営競馬から中央入りして人気者になったハイセイコーを彷彿とさせるものがある。
ここに、一時は世界一という評価のあった現役最強馬、アーモンドアイが「ラストレース」にすると参入してきたのである。
前売りではアーモンドアイが1番人気だが…
アーモンドは前走の天皇賞・秋を勝ち、競馬史上初のGⅠ8勝という輝かしい記録を打ち立てた。普段冷静なルメール騎手が、優勝インタビューで涙を見せたことが、この偉業のもの凄さを物語っていた。
ルメールとアーモンドアイの「LOVE STORY」も、このレースでエンディングを迎える。勝って、アーモンドの馬上でルメールが泣き崩れるシーンを見たいと思うファンも多いはずだ。
前売り人気では、アーモンドアイが1番人気(オッズは2.0倍=11月28日午後2時時点)、2番人気がコントレイル(3.1倍)、3番人気がデアリングタクト(3.7倍)と続き、5番人気のカレンブーケドールでも単勝は21.8倍、6番人気のワールドプレミアは36.2倍にもなる。
各スポーツ紙の印を見る限り、◎の数ではコントレイルが優勢で、アーモンドとデアリングが二番手を競っているようだ。