10年前のドラ1、今は2軍暮らしの斎藤祐樹はなぜニュースの常連か
10月26日、プロ野球ドラフト会議がリモート方式で行われた。
コロナ禍のため、選手の実力を判定する機会が激減した(高校野球選手権→中止、各大学リーグ→試合数減少、都市対抗→延期など)なかで行われる異例のドラフトになった。その分、各球団の調査能力が問われ、指名をめぐるかけひきは興味深いものがあった。
その中でも人気を集めたのは大学ナンバー1スラッガー・佐藤輝明(近畿大)と、最速155キロ左腕・早川隆久(早稲田大)。佐藤は4球団から重複指名され阪神が、早川は4球団から指名され楽天が交渉権を獲得した。
ところで10年前の2010年ドラフト会議で、この2人以上に世間の耳目を集めていたのが斎藤佑樹(4球団競合の末、日本ハム入団)だ。2006年の夏の甲子園決勝で、早稲田実業のエースだった斎藤は駒澤大苫小牧の田中将大(ヤンキース)と2試合にわたる壮絶な投げ合いを演じ、伝説を作った。
早大進学後も1年時からエースとして活躍し、4年間で31勝15敗、防御率1.77、323奪三振という輝かしい記録を残した。加えて話題性も抜群。高校時代はマウンド上で汗をハンカチで拭く仕草と端正なルックスで「ハンカチ王子」と呼ばれ、世間の注目を一身に集めた。実力と人気を兼ね備えた平成のアマチュア球界を代表するスターといっていい。ドラフトでどの球団が斎藤を獲得するのかは、この年の秋の大きな関心事だった。
日本ハム入団後もスタートはまずまずだった。1年目は4月にルーキー初勝利一番乗りを果たし、ローテーション投手として6勝6敗の成績を残した。2年目も開幕早々、初完投勝利、初完封勝利を記録。だが、シーズン半ばから打ち込まれることが多くなり、5勝8敗でシーズンを終えた。
ここ7シーズンで4勝、2軍戦で7人の打者に投げて5失点
試練が訪れたのは3年目。右肩の故障もあって、1軍登板は1試合にとどまった。以降は、かつての輝きが嘘のように精彩を欠き、7シーズンで4勝しかしていない。昨シーズンまでのプロ9年間の通算成績は15勝26敗、防御率4.34だ。
そして10年目の今シーズンは2軍暮らしが続いた。そんな斎藤の近況を伝えるスポーツ紙の記事は定期的にネットニュースに載り、話題を集めている。例えば10月16日のイースタンリーグ、対巨人戦での投球を報じたオンラインの記事。日ハム1-3のビハインドで迎えた6回裏に斎藤は登板したが、7人の打者に対して4安打、1死球。5失点を喫して降板したという内容だ。