日本のスポーツ選手の収入はどれくらいなのか。各種目の現状を調べたスポーツライターの酒井政人氏は「企業に所属する社員選手に比べ、プロ選手は実績に応じた契約金のほか、スポンサー料やCM出演料などを得ると年収は高額です。ただその分、リスクもある。実質的なプロとして活動してきた競泳の瀬戸大也選手は不倫騒動で億単位の収入を失う恐れがある」という――。
瀬戸大也選手の不貞の代償「推定年収1億円」吹っ飛ぶか
来夏に東京五輪を迎える日本のスポーツ界に大きな波紋が広がっている。金メダルを期待されている競泳日本代表・瀬戸大也の“不倫騒動”だ。
メインスポンサーといえるANAは9月30日付で所属契約を解除。瀬戸は複数の会社とスポンサー契約を結んでいたが、それらも危うい状況だ。また瀬戸自身は東京五輪競泳日本代表の主将を辞退。日本オリンピック委員会(JOC)の「シンボルアスリート」の契約解除を申し入れ、受理された。優に億単位の収入が吹っ飛んだといわれている。
<瀬戸は基本的に競技に専念し、実質的なプロとして活動してきた。ANAとの契約は年間数千万円とみられ、他にも複数の企業のCM出演料、シンボルアスリートへの報酬など推定年収は計1億円とも言われる>(スポーツ報知、10月1日付)
多くの有力な水泳選手は大卒後、社員選手として企業に就職し、給与を得る。その額は一般社員と同程度と言われる。瀬戸は文字通り「別格」だったが、それらを失う可能性が高い。不貞の代償はあまりにも大きいと言わざるを得ないだろう。
この騒動の影響もあり、筆者が取材した10月上旬の日本陸上競技選手権・男子100mで6年ぶりに優勝を果たした桐生祥秀(日本生命)のコメントが耳に残った。
「プロになって生活していくためには、1回1回の勝負に『桐生祥秀』という名前を広めたい。そのために今季は甘えがないシーズンを送れたかなと思います。いろんなスポンサーがついているなかで勝つことができなかったら、スポンサーが離れてしまうかもしれないし、逆に勝てばもっとつくかもしれない。プロとしてどれだけ価値があるのか。2番や3番では違います」
スポーツ選手の価値は、試合時のパフォーマンスが最も評価される部分だろう。しかし、企業と契約していれば私生活や試合外でのイメージも大切になる。瀬戸の場合は試合でミスをしたわけではなく、彼のイメージが崩壊したことで、アスリートとしての“価値”が急降下したことになる。