勘違い(2)テクノロジーを購入する金銭的余裕がない
これは断じて真実ではない。主要新興市場の消費者の80%以上が、テクノロジー製品・サービスを購入できるだけの可処分所得を手にしている。これらの市場には豊かな消費層があり、中所得層の消費者でさえかなりの額をテクノロジーに使うことができるのだ。
しかも、テクノロジーならなんでもよいというわけではない。われわれの調査では、途上国の消費者や小規模事業はより高品質の製品や革新的な機能を求めており、それらにカネを払う用意があることが判明している。BRICs市場でのある調査では、小規模事業はより小型か高速のプリンターであれば、20~30%の割増価格を喜んで払うことが明らかになった。別の調査では、中所得顧客層と高所得顧客層の購入パターンには、ごく小さな違いしかないことが判明した。
新興市場のなかには中所得層が総人口の70%を占めている国もあることを考えると、これらの消費者は企業にとって魅力的な存在なのだ。
勘違い(3)消費者はブランド料を払わない
ほとんどのテクノロジー企業の幹部は、グローバル企業が新興市場で健全なブランド料を得るのは難しいと思い込んできた。現地のノーブランド企業がマーケット・シェアの大部分を獲得するはずだと思っているのだ。
彼らは考え直す必要がある。たとえばブラジルでは、調査の回答者の59%が、次に家庭用パソコンを買うときは国際的ブランドの製品を買う可能性が「きわめて高い」と答えた。プリンターに関する別の調査では、BRICs四カ国のすべてで、顧客の意思決定においてブランドが欧米諸国より重要な役割を果たすことが明らかになった。
新興市場の小規模事業主も、ブランドに強い関心を持っている。たとえばBRICs諸国の小規模事業対象の調査では、次にコンピュータを買うときは国際ブランドの製品を買う可能性が「きわめて高い」との答えが出た。理由の一つはリスクを避けるためだ。国際的ブランドのほうが、ローカル・ブランドより安全とみなされているのである。