魚屋から、早朝に電話が入るように
「月当たり数万円をお支払いいただいているお客様がいらっしゃる。価格に見合う満足を感じていただくために、便利、おいしい、安全に加えて、食に対する喜びや外食のような楽しさも一緒にお届けしたい。あまり馴染みのない食材にも、積極的にチャレンジしています」(小川CMO)
たとえば、好評だったのが富山県で獲れたシイラという魚。ハワイではマヒマヒという名で通っている高級魚だ。この赤身を青のりのフリットにして提供したところ、その週の11品中2位の高評価を得た。
「耳慣れないめずらしい魚でも、味がよければ積極的に仕入れるので、最近では『おもしろい魚が入ったよ』と魚屋さんから電話がかかってくるようになりました。早朝にたたき起こされることも増えました(笑)」(小川CMO)
こうした作り手の姿勢は、ユーザーの思わぬ行動につながっていく。
もっとおいしく、たのしく、顧客がアレンジ
前述の木村さんは言う。
「届いた惣菜を料理の具材に使うこともあります。もともと味付けが工夫されているので、ご飯を混ぜて味を調えるだけで、一味違う炒飯が簡単にできます。水菜とジャコの炒め物にバターを足した炒飯はおいしかったです。ハンバーグサンドに、お惣菜のラタトゥイユを加えたら、おしゃれなサンドイッチになりました。かぼちゃの煮物に、クリームチーズとナッツ、ガーリックパウダーを入れたおつまみは、ワインにとてもよく合いました」
顧客によるメニューのアレンジは予想していなかった、と小川CMOは言う。
「つくりおきは数日間食べていただきますし、管理栄養士も確認しながらメニュー作成しているので、薄味に設定しているものが多いです。そこで、好みに合わせて味を足したり、他のメニューにアレンジしたり、というのはみなさん結構やっていらっしゃって、こうやってアレンジしたら美味しかったです、と教えてくださるお客様もいます。お互いに料理の楽しさに触れられるのは、思ってもみないうれしい展開でした」
思わぬ効果といえば、管理栄養士による監修効果か、「『つくりおき.jp』でダイエットに成功しました!」という声も、いくつか寄せられているという。
おいしくて、日持ちがして、楽しい。食事宅配サービスとしては申し分ないが、前島CEOが実現したかったこととイコールかといえば、そうではない。