惣菜は保冷バッグに入れて届く。黒いパックが主菜、白いパックが副菜。
写真=市来朋久
惣菜は保冷バッグに入れて届く。黒いパックが主菜、白いパックが副菜。

しくみとして、「おいしいメニューばかり」になる

Antwayのマーケティング・プロダクト責任者、小川未来CMOによると、メニューづくりは、ユーザーへの徹底したアンケートを起点にしているという。

「毎週R&D(研究開発)をしています。LINEで週次アンケートを実施して、人気トップ3を毎週ブログでお知らせします。大変ではあるのですが、評判のよくなかったメニューや調理法も、『先週の課題はこれでした』と必ずレポートする。毎週お届けしているメニューの7~8割が新商品です。低評価のメニューを入れ替えながら、評価の高いメニューだけをレパートリーとして残していく仕組みにしています」

かつて評判のよくなかったメニューに、「かぼちゃサラダ」があった。試作ではおいしかったのに、なぜか人気がない。保存形式を変え、細かく切ってセントラルキッチンまで届けられていたのを大ぶりに変更し、鮮度が向上。リニューアルしたかぼちゃ系メニューは、人気ランキング上位の常連となった。アンケート結果から、改善メニューを生み出していく。そのノウハウやデータは、毎週、厚みを増していく。

業界でも随一「冷蔵で届いて、4日間も日持ち」

つくりおき.jp」の長所は、「おいしさ」だけではない。大きな特徴は、冷凍ではなく冷蔵で届く点。「つくりおき」を名乗るだけあり、魚料理もふくめ、冷蔵庫で4日も日持ちするサービスはかなりレアだ。冷蔵で届く他の宅食では、「当日中にお召し上がりください」とうたうものもある。日持ちの裏側には、調理から運搬まで、高度な技術がある。「ここが一番の企業秘密」と語るのは、創業者の前島恵CEOだ。

「つくりおき総菜といえば、佃煮やひじき煮など、味が濃くて塩気の強い保存食が中心でしたが、調理や冷却方法、殺菌や衛生的な運搬技術などを徹底することで、保存食でなくても、冷蔵で届けられるようになりました。たとえば、ほうれん草のくるみ胡麻和え、ポークビーンズ、シーフードグラタンなど、ごくふつうの献立が並んでいます」

おいしさ、日持ちと、食事宅配サービスに必要な魅力は備えているように思うが、小川CMOは、「それだけでは、お客様に満足してもらえない」と言う。

届いたばかりの惣菜が並ぶ、木村さん宅の冷蔵庫。ワンプレートに盛り付けられた惣菜にご飯も盛って食べる長女。
写真提供=木村さん
届いたばかりの惣菜が並ぶ、木村さん宅の冷蔵庫。ワンプレートに盛り付けられた惣菜にご飯も盛って食べる長女。