お互いにマスクをしてウイルス暴露を少なく抑え込む

正しい知識で正しく恐れるにはどうすればいいのか。そのためには、このウイルスの弱点を理解することだろう。

新型コロナウイルスの感染力が高まるのは、密接・密集・密閉の「3密」という環境だ。さらに手洗いで接触感染を予防し、お互いにマスクをしてウイルス暴露を少なく抑え込めれば、簡単には感染しない。身体のコンディションにも左右されるため、日ごろから十分な栄養と睡眠を取り、暴飲暴食を避けることが大切だ。

WHOの「Avoid the Three Cs」のポスター

日本で生まれた「3密」という弱点は、いまでは「Avoid the Three Cs」という英語に翻訳されて欧米にも広がっている。“Three Cs”とは、closed spaces/crowded places/close-contact settingsの3つを指す。

新型コロナウイルス対策を担当する西村経済再生相は11月11日の記者会見で「現段階は、緊急事態宣言を出すような状況ではないが、今の流れが爆発的な感染拡大にならないように対策は強化していきたい」と語った。

菅義偉首相も13日、国民への呼びかけとして記者団にこう話していた。

「飲食を伴う懇親会やマスクを外しての会話など、感染リスクが高まる『5つの場面』を踏まえ、いま一度、基本的な感染防止対策に努めてほしい」

 

「Go To キャンペーン」の見直しはまだ早い

この5つの場面として、さらに「大人数や長時間に及ぶ飲食」「狭い空間での共同生活」などを挙げているが、人と人の触れ合いを全面的に否定するところもあり、すべてをそのまま受け入れるのは難しいだろう。

政府はこうした感染予防対策を求める一方で、いまのところ国内の移動には制限を設けない方針だ。需要喚起策の要となっている「Go To キャンペーン」の見直しも行わない。

感染防止にはどうしても移動の制限がともなう。病原体のウイルスや細菌が、人によって運ばれるからだが、移動制限を厳しくすると、社会・経済が行き詰まり、さまざまな弊害が生じる。「GoTo」によって観光地がにぎわいを取り戻し、経済活動が回復したという地域は多い。人と人とが物理的に結び付くことで、コロナ禍特有の閉塞感もかなり薄れてきている。

政府にくみするわけでないが、沙鴎一歩は「GoTo」を見直したり、中止したりするのはまだ早いと思う。感染によって亡くなるケースは限定的になっている一方で、社会・経済の閉塞が続けばそれによって亡くなる人が増える。感染防止と経済振興のバランスを取ることが重要だ。