サッカー強豪国には「お父さんコーチ」はいない

親は基本的に子どもに対してサッカーの話をしてはいけないし、教えてはいけません。海外ではその点で区別されていることが多く、指導者はサッカーを教える人、親は子どもを見守る人。子どもに無用なプレッシャーを与えないために、あまり話をしないのが暗黙の了解になっています。

写真提供=東洋館出版社

そこまで根掘り葉掘り聞かないということです。たとえば、ああしたほうがいい、という親がいますよね。そこまで介入するのはよくありません。指導者がいて、教わっている人がいるのなら、その人を信頼して親は見守ってあげてほしいです。

日本の小学生年代のサッカーでは、昔から少年団が溢れています。その少年団では、指導者の数が足りておらず、お父さんがボランティアコーチとしてチームの指導に関わるケースがほとんどです。お父さんコーチの中にも、サッカーを経験している方もいれば、サッカーを経験したことのない方もいます。一方、他国では指導者は指導者という明確な括りがあります。アマチュアだろうがプロだろうが指導者は指導者。ライセンスを持っているし、しっかり教えられる人が教えています。

日本の欠点は指導者に競争力がないことです。サッカーを教える人がそれほどいないので現場にすぐ入れてしまう現実があります。日本の指導者の70%は未だにボランティアコーチという数字もあるほどです。

試合では「がんばれよ!」という抽象的な言葉が野放し

一方、サッカー強豪国は指導者が余っているほどなので、指導力のある指導者がどんどん下のカテゴリーまで落ちてくる状況があります。そうなると底辺まで質のある指導者たちで埋まっていきます。

日本でお父さんコーチが子どもたちに適当にリフティングをさせて、シュートをどんどん打たせて、試合では「がんばれよ!」などという抽象的な言葉の数々が野放しになっている状況は海外にはありません。

今は日本にもスクールがたくさんありますが、スクールでさえも若いコーチが指導していて、楽しむことがメインになっていることがほとんどでしょう。結果として、子どもたちにはサッカーを学ぶところがありません。その後、中学校、高校で学校の先生にサッカーを習い、やがてサッカーを辞めていくのです。

この流れをどこかで断ち切らない限り、日本は変わらない気がします。もちろん正解はわからないのですが……。