「知らぬ間に離婚」で財産分与が請求できなくなることもある

勝手に提出された婚姻届や離婚届を無効にせず、そのままにしておくことのデメリットは計り知れません。

婚姻届に関しては、仮に相続が発生した場合には、知らない人に自分の財産を相続されてしまう(配偶者は必ず法定相続人となるため)といった事態が発生します。また、夫婦間では、「日常家事債務」といって、一方が日常生活のために負担した債務は、他方も連帯して責任を負うことになるため(民法761条)、ある日突然、自分のところに知らない請求書が届くといった事態が発生することもあります。

離婚届に関しては、夫婦間に子がいる場合、離婚届の親権者を相手に指定されることで親権を失ってしまいます。また、離婚から2年が経過すると、財産分与(婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配すること)を請求する権利を失ってしまいます。財産分与請求権の時効は離婚から2年間であるためです。

婚姻届、離婚届ともに、第三者や配偶者により勝手に提出されることを防ぐため、役所に対して不受理の申出をすることができます。具体的には、自分の本籍地がある市区町村に「婚姻届不受理申出書」あるいは「離婚届不受理申出書」という書面を提出することになります。この申出さえしておけば、自分が知らないところで勝手に婚姻届や離婚届が提出されるといった事態を完全に防ぐことができます。

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