一番大事なことは全部身近にある

【正垣】要するに、今あなたがいる所が最高の場所で、一番大事なのは、嫌なことが起こっても、それって全部いいことなの。それを活かせばいい。アサリと八百屋の持っている野菜。それを活かしたから自然とイタリア料理になっちゃった。

あと一つ、本八幡の一番街でどういう店を出したらみんなが嫌がらないかって言ったら、イタリア料理だったの。焼肉屋も洋食も和食もラーメンも全部あるわけ。だから誰にも文句言われないイタリア料理にしたの。

【村山】なるほど。

【正垣】だから自分で考えることなんてないんだよ。一番大事なことは、全部身近にあるの。これをやればいい。

コロナ期間中も仕事が楽しかった

【村山】僕もイタリア料理をやり始めたきっかけが、その前はずっと料亭の茶会席だったんですけど、すごいよそ行きの料理だったんです。でもピザを食べたときに、友達同士で食べながら、どんちゃん騒ぎできた。親しみやすさとか、みんなで一つのものをつっつき合いながら食べるっていう。あれにすごい感動した覚えがあって、それでイタリアに行ってみたんです。

村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)

【正垣】そういうのも、原因があるわけ。それはあなたの考え方なの。何が大事かって言ったら、考え方を教えること。教えるだけじゃ理屈だから、それで楽しむことを覚えさせればいい。そうしたら必ず幸せになる。エネルギーに逆らわなければ幸せになるから。

不幸になるっていうのは全部自分で不幸になっている。その人を助けるためにビジネスをやっているわけだから。

【村山】今回のサイゼリヤで教わった土台があったからこそ、結構時間ができて、空いた時間でスタッフたちと一緒に、うちのラビオリというスペシャリテのパスタを冷凍にして全国発送したり、テイクアウトをやったりしたらものすごく売れて、お客さんからすごい感謝されるんですよ。

スタッフも楽しくなっちゃって、本当にコロナ期間中ずっと僕ら、4人で本当にゲラゲラしながら料理をつくってました。萎縮した雰囲気は全くなくて、逆に忙しすぎて。今お話を聞いて、そういうことなんだと思いました。