バイデン当選なら移民・国境政策は元通りに
トランプ大統領は、銃規制の強化には慎重な立場ですが、バイデンも武装の権利を定めた憲法修正第2条を尊重するとしているので、根本的な差があるわけではありません。
トランプは、強硬な移民政策を進め、国境の壁の建設や難民受け入れ制限を実施してきましたが、バイデンは緩和するでしょうし、不法移民の市民権の取得、子供のときに不法入国した人の強制送還を猶予するDACA政策を復活させるでしょう。
ただ、『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)の最終項目で論じたばかりなので繰り返しませんが、米国民主党や欧州左派政党が移民や難民に好意的なのは、移民が彼らの支持層になるという党派的な利益が理由でもあります。
また、都市の企業活動やインテリ層の生活は、安い移民労働力に支えられており、ローマの奴隷のような役割を果たさせています。そして、その犠牲になって職を失って不満を募らせているのは、ラストベルトの白人工場労働者や農民です。果たしてこれが進歩的な人の理想に照らして健全なのか私はおおいに疑問をもっていますし、その反省を健全にすることが左右に分断された先進国社会の復活につながると主張しているところです。
今回の大統領選挙で意外に重要な点
さて、「トランプvsバイデン どちらが日本に得か?」を単刀直入に言うと、トランプがどう暴走を続けるか分かりませんから、バイデンのほうが安心とはいえます。トランプの気まぐれによる被害を日本が受けてこなかったのは安倍前首相がいてこそで、ポスト安倍は不安でいっぱいです。ただし、バイデンが短兵急に外交政策を変更すれば、中国や韓国が典型ですが、暴走する国が出る危険性もまた無視できません。
最後に大統領選挙についての余り語られないが意外に重要な点を指摘しておきます。今回の選挙では、来年の就任式時の年齢でトランプが74歳、バイデンなら78歳です。
12年前にオバマとマケインが争ったときにマケイン就任時には72歳なので、任期中に死亡する割合は十数パーセントで、その場合、明らかに無能そうな副大統領候補サラ・ペイリンが大統領になるといわれマケインをおおいに不利にしました。
今回の選挙では両候補とも2割くらいはそのリスクがあるわけで、その意味で、副大統領候補への評価がこれまでになく問われる選挙になるということでないでしょうか。