この図表1を見ると、350mlのビール1缶(血中濃度0.01~0.02%程度)でも、「集中力が下がる」「多方面への注意力が向かなくなる」「反応時間が遅れる」といった運転への影響が出ることがわかる。

「ビール1杯くらいなら」は甘い考えだ

さらに、ビールの量が500mlになると、「ハンドル動作が上手くできなくなる」「視覚機能が阻害される」ということが起こり、350mlを2缶、つまり700mlになると、「規制を無視し始める」というのだから恐ろしい。

これは、バイクに限ったことではなく、自転車や4輪車の運転にも同様に表れる影響なので、「ビール1杯くらいなら」という考えがいかに甘いものであるかをよく認識すべきだろう。

その他、興味深かったのは、

素面しらふの状態よりアルコールの存在したほうが、技術が向上するという証拠は全くありません。

という指摘だ。たまに、「ちょっと一杯入ったくらいのほうが、運転がうまくなる」なんてことを自慢げに言う人がいるが、全く根拠はないどころか、その考えは誤りであるということを肝に銘じておきたい。

「酒気残り」にも要注意

血中のアルコール濃度は、飲酒後、約30分~2時間後にピークとなり、その後、時間の経過とともにほぼ直線的に下がっていく。しかし、酒気が完全に抜けるまでにはそれなりの時間がかかることも覚えておきたい。

ちなみに、500mlのビールが身体から抜けるのにかかる時間は、

●男性の場合 → 飲み終わってからおよそ4時間
●女性の場合 → 飲み終わってからおよそ5時間

だと言われている。

この量が2倍になれば、分解時間も2倍かかるとのことなので、翌日に運転をする予定がある場合は、時間を逆算して「酒気残り」がないように気をつけたい。

飲酒が運転に与える影響について、警察庁は、

「気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする」
「車間距離の判断を誤る」
「危険の察知が遅れたり、危険を察知してからブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる」
「居眠り運転をする」

といった行動が起こることで、交通事故に結びつく危険性を高めると指摘している。