9月22日、「TOKIO」の元メンバー・山口達也さんが大型バイクで事故を起こした。基準値の約5倍の酒気帯び運転だったという。飲酒運転はどれほど危険なのか。ジャーナリストの柳原三佳氏は「かつて大型二輪練習所で、ビール1杯を飲んで一本橋を渡る実験をしたことがある。そのとき飲酒運転の怖さを痛感した」という——。
日没時に道路を運転するライダーからの視点
写真=iStock.com/HQuality Video
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少量のアルコールでも人生は大きく狂う

白昼堂々、ふらふらと蛇行しながら走行する1台のハーレー・ダビッドソン。その視線はいったいどこに注がれているのか、停止中も車体は安定せず、前車が発進してもなかなか動こうとしない。

その異常な後ろ姿に危険を感じたのか、後続車が車間を空けると、予想通り前方で追突事故が発生……。

後続車のドライブレコーダーが偶然とらえていたあの映像を見たとき、バイク乗りの一人としていたたまれない気持ちになった。

人気アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー、山口達也さんが9月22日、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された。逮捕時の呼気アルコール濃度は基準値の約5倍、0.75ミリグラム。当初の報道では、「事故さえ起こさなければ捕まらないという認識だった」と供述していたそうだ。

しかし、もし、「アルコールが残っていてもバイクならそれほど影響はないだろう」と思っていたなら、それは大きな間違いだ。

バイクという乗り物は、停止すると自立できず、走ることで安定する。普段は何げなく運転操作をしているように見えて、実際には以下の5つの装置を、常に両手両足で複雑にコントロールさせながらバランスを取っている。

右手→アクセル&ブレーキレバー(前輪)
左手→クラッチレバー
右足→ブレーキペダル(後輪)
左足→チェンジペダル(上下に動かすことでギアを変えていく)
*その他、指でウインカーやライト、ホーンを操作

これらの操作のどれかひとつを誤っただけでも、安定した走行ができなくなる。まさに、バイクは五感をフル活用して操る乗り物だといえるだろう。