衆院選対策という「選挙互助会」のイメージが付きまとう
「新党代表選の告示 選挙互助会で終わるのか」との見出しを掲げ、野党を皮肉るのは、9月8日付の産経新聞の社説だ。
新党の立憲民主党が生まれる前から産経社説は「安倍晋三首相の後継首相に対峙する野党第一党の代表選びだが、自民党総裁選の陰に隠れがちで、注目を集めているとは言いがたい」と酷評している。
さらに「合流新党には衆院選対策という『選挙互助会』のイメージが付きまとう。与党に代わり政権を担う勢力に成長するという期待が、有権者の中で広がっていない」とも指摘する。
選挙互助会という要素は、党利党略で総裁を決めた自民党にも間違いなくある。しかし新党が同じ要素をもつようでは、自民党との違いが打ち出せない。「選挙互助会ではない」というイメージを、なぜ打ち出せないのか。それは政策的な理念が希薄で、非現実的だからだろう。
鳩山氏の「最低でも県外」を党内でどう議論しているのか
産経社説はこう書いている。
「たとえば両氏(編註:代表選に臨んだ枝野幸男氏と泉健太氏)は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を止めるよう訴えている」。
「だが、移設は普天間飛行場周辺で暮らす市民を事故発生の危険から守り、中国や北朝鮮の脅威から沖縄を含む日本を守るための日米合意である」
「立民と国民は民主党をルーツに持つ。民主党の鳩山由紀夫首相(当時)は『最低でも県外』と唱え、普天間移設を混乱させて米国の信頼を失うなど同盟関係に大きなヒビを入れてしまった。合流新党はそれを反省せず、民主党政権の二の舞いを演じたいのか」
「枝野氏は民主党政権の失敗を念頭に『困難と挫折によって学んだ教訓を生かし、先頭に立つ決意だ』と述べたが、普天間問題の教訓をくまぬようでは安定した外交安全保障政策を展開できまい」
沙鴎一歩はこの部分の産経社説に賛成する。鳩山氏が普天間の移設問題を混乱させ、国益を損なったことは間違いない。沖縄県民だけの問題ではなく、日本全体の安全保障の問題として考える必要がある。新しい立憲民主党に所属する議員は、安全保障の在り方そのものを議論し、見識をあらためたことを示せなければ、国民の信頼を取り戻せない。果たしてそのことを、どれだけ理解しているのだろうか。