大学生の長男にかかるサークル費も親が肩代わりする「大甘浪費」

まず食費は外食が多かったので、自宅での食事を心がけるようにしました(約11万円→6万7000円)。

いまだ感染拡大が続くコロナの問題は、今後も長引きそうです。そのため、外食よりは中食、自炊で楽しむ方法を見つけたほうが、安全安心で充実したものにもなります。

また、水道光熱費はその使い方を見直し(3万1000円→2万7000円)、通信費はすでに格安スマホに変更していたので、その契約内容を使い方と照らし合わせて変更しました(1万9000円→1万1000円)。

被服費、娯楽費など「贅沢支出」といえる部分は全部カットするのではなく、楽しみを残しつつも削減するようにして、頻度や優先度を見ていきました(順に、3万7000円→2万1000円、2万6000円→8000円)。

大学生の長男にかかるサークル費やこづかいは、アルバイトをしていることを踏まえ、また、今後の自立にもつながるよう、話し合いの上、大部分を自己負担することにしました(4万円→2万円)。長男も両親の老後資金がないと、自分が面倒を見なくてはいけなくなることを理解し、不安に感じたようで、同意してくれました。

年間300万円以上貯金できる家計に

以上のようなコストカットを断行した結果、最終的に支出は月12万円も圧縮することができ、月の黒字額は計27万円とすることができた。これをしっかり貯金に回していくことにしました。安定して貯金ができるようになったら、一部をつみたてNISAなどでリスク(不確実性)の少ない投資信託で運用し、複利で増やしていくことを期待することにしています。

数字上は年間で300万円以上貯金ができる計算です。2年後に、長男の学費が終われば、その分も蓄えていけますから、かなりのスピードで最低限度の老後資金を作っていける見込みです。あとは、生活費をかけないようにし、年金受給額(月22万円)に近い金額で生活できるようになる訓練もしておかなくてはならないでしょう。

筆者の横山光昭氏の最新刊『「逃げ切れない世代」のための黄金のお金設計』(プレジデント社)が好評発売中。

Fさんの世帯に限らず、収入がある人は、つい油断して、蓄えを持たないという傾向があります。なんとかなるさ、と思っている場合もありますし、自然と支出が上がり、貯めたくても貯められないという場合もあります。

どちらにしても貯められないというのは、もったいないことです。それまでは豊かに暮らせていても、仕事を辞めて年金受給者になった途端に貧しい暮らしに転じる場合もあるのです。

お金が足りないというのなら収入を上げる。

そう考えてばかりいると、いくらお金があっても足りない、という事態が起きます。収入を上げることも大事ですが、その分を蓄えるということも大事です。いつまでもバリバリと稼げるわけではありません。自分の人生がどのように進んでいくのか、現在の収入、支出、ローンなどを総合的に考え、見据えて準備していくことが大切なのではないでしょうか。