「写真」でスタッフの士気を高めた飲食店
また、鹿児島市内に「さつま海鮮ろばた焼 チキンブラザーズ」など飲食店を3店舗経営するフォーエスでは、アルバイトのシフトを削り、各店舗の体制を縮小したことで、社内の雰囲気が暗くなってしまった。少しでもスタッフに明るくなってもらおうと、アルバイトや社員達の笑顔の写真や、頑張っている写真を集めるイベントを行った。働いている時の写真を毎日社内のグループLINEに流してほしいとスタッフにお願いしたところ、毎日のように写真が送られてくるようになり、3月中に100枚以上の写真が集まった。
この企画を通じて、お互いのいいところを見つける習慣がスタッフに身につき、新しい仕事にチャレンジしている仲間の写真を見て、モチベーションをあげてくれたアルバイトも増えてお店は再び活気を取り戻した。今現在、フォーエスの各店舗では、ランチのお弁当やテイクアウトのオードブルの販売を展開中だが、スタッフの明るい雰囲気が伝わっているのか、持ち帰りの利用者も増えて、地域のお客様にも好評だという。
売り上げを気にするあまり、社員にまで気遣いが回らず、ギスギスした雰囲気になる職場は多い。しかし、この事例のように、従業員のモチベーションを上げることは、お店の雰囲気にも反映されて、集客にも影響を与えていく。ゆくゆくは店舗の売り上げにつながっていくはずなので、このような内部施策はぜひ見習いたいところである。
SNSで「ファン」をつなぎとめる
東京と伊豆諸島を結ぶ東海汽船では、社員の約半数が添乗員資格を持っている。そのため、おのおので独自のツアーを開催することが可能だ。自分が思いを込めたツアー企画を豊富に組めることもあり、メッセージがお客様に伝わりやすい。SNSで島の情報を拡散することで、それを見た人がツアーに参加。その人達が旅の体験をSNSに投稿することで、さらに他のお客様の共感を呼び、SNSのフォロワーを地道に増やしていった。
今ではツイッターとフェイスブックのフォロワー数は約3万人。コロナ禍で減便が続くが、SNS上で開催した伊豆諸島の動画募集企画では、約2カ月間で500件近い作品の応募があった。旅客船に乗らなくても、SNSでこれだけお客様との距離が近くなっていれば、コロナ禍収束後の利用客の戻りは早いはずだ。
SNSの情報発信ではセールス情報だけではなく、発信する「人」が見える情報のほうが、ファンを作りやすい。そして、そのファンに共感する人が再び仲間を呼び集めるので、フォロワーは加速的に増えていく。そのような共感を得られやすいコンテンツ作りのコツが、この事例からも伺える。