メルカリの貸借対照表はどちらでしょう?

では、実際のB/Sを見ていきましょう。表はいずれもリユース(中古)商品を販売するメルカリとブックオフグループHDのB/Sです。

2つの表を比較すると、左側の資産の部分に大きな違いがあることがわかります。②の資産は多くが流動資産で、固定資産がほとんどありません。これには、両社のビジネスモデルの違いが表れています。どちらがメルカリでしょうか。

メルカリは売りたい人と買いたい人をマッチングするサービスを提供しており、メルカリ自体は商品を保有していません。B/S上、商品は流動資産に含まれるので、メルカリは流動資産が少ないと考えられます。とすると、①がメルカリである可能性が高くなります。

しかし一方、ブックオフは全国に店舗があって商品を販売しています。メルカリはウェブ取引のため、その意味でメルカリは固定資産が少ないと考えられます。メルカリのようなIT企業の場合、少ない資産で売上を高くできるという特徴があるのです。

この影響が大きく、よって正解は②です。メルカリのようなビジネスは、ほとんど設備投資が必要なく固定資産が低いために、流動資産が相対的に多く見えているのです。

3問目では、銀行3社を比べてみましょう。表はコンビニATMでお馴染みのセブン銀行、日本を代表するメガバンクの三菱UFJ銀行、静岡・神奈川を地盤とする地方銀行であるスルガ銀行のB/Sです。

ひと目見て、通常のB/Sとの違いに気づくはずです。「預金」が負債に、「貸出金」が資産に記載されています。一般企業であれば、預金は資産です。しかし、銀行の預金は企業や個人から預かったもので、いずれは返済しなければなりません。よって、銀行にとって預金は負債になるのです。反対に、貸出金は銀行が企業などに融資しているお金。将来返してもらえるお金なので資産となります。

そのうえで3社のB/Sを比較すると、①は貸出金が極端に少ないことがわかります。融資業務をほとんど扱っていないと推測できます。一方、②は資産の多くを貸出金が占めているので、融資業務がメインでしょう。グローバル展開する三菱UFJ銀行は、特定の業務に偏っていることは考えにくいので③の可能性が高くなります。セブン銀行は①か②となりますが、ネットとコンビニATMが基本であることを考えれば、融資業務が多いとは考えられません。

よって、①が正解です。②がスルガ銀行、③が三菱UFJ銀行です。