楽天の財務データはどちらでしょう?

楽天とアマゾンのB/SとP/Lを示しました。大手EC(ネット通販)として知られる2社ですが、楽天はどちらでしょうか。

楽天の財務データはどちらでしょう?

答えは両社のビジネスモデルに隠れています。楽天はECサイト「楽天市場」の中に、小売業者が出店して商品を販売しています。楽天は商品を持たず場所を提供することで、出店料や売上手数料を得ているのです。一方でアマゾンは自社で倉庫や物流網を有し、メーカーなどから商品を仕入れて、直接消費者に届けています。アマゾンには、小売業者が直接、アマゾンのサイト上に出品して商品を発送する「マーケットプレイス」もありますが、全体からすればごく一部にすぎません。

アマゾンは倉庫を持っているため、倉庫を持たない楽天よりも資産が大きくなりそうだとの仮説が成り立ちます。また、売上にも両社の違いが出ます。アマゾンは100円の商品を販売すると、売上も100円になります。一方楽天は、100円の商品が売れても、受け取るのは手数料のみです。手数料率が5%なら売上は5円です。

アマゾンはB/SもP/Lも大きくなりやすいことから考えると②の可能性が高くなりますが、①はB/SとP/Lの差がとても大きくなっています。倉庫を持たない楽天のB/Sがここまで大きくなるでしょうか。

そこで楽天のビジネス領域を考えると、楽天銀行や楽天証券などの金融業も営んでいます。金融にはたくさんの資産が必要で、B/Sが大きくなりがちな特徴があります。

これらを考え合わせると、①が楽天であることがわかります。消費者からすれば、両者のビジネスは似ているように思いますが、楽天は「モール型」といって場所を提供して手数料を受け取るビジネス。一方のアマゾンは「倉庫運営型」で、商品を仕入れて自社のプラットフォームで消費者に販売するモデル。両者のビジネスモデルは大きく異なるのです。

※図版は、2019年12月時点での各社決算情報を基に作成しています。

楽天は手数料が売上アマゾンとの違いに着目