2.損益計算書(P/L)→会社の経営成績がわかる

次にP/Lを見ていきましょう。左側(借方)と右側(貸方)に大きく分かれ、左右の金額は必ず同じになる構造は、B/Sと同じです。

費用、収益、利益を区別しよう

P/Lでは費用を左側に、収益(売上高など)を右側にまとめるのが基本。収益と費用の差が利益となって、左側の下に表示されます。たとえば、収益が100万円で費用が80万円であれば、100万円-80万円で、利益は20万円になるのです。つまりP/Lの役割は、収益と費用を比較して利益を出すことです。

P/Lの費用部分には、企業の戦略が反映されます。たとえば、営業担当者を多く雇って商品を販売するビジネスでは、販管費(販売費および一般管理費)の人件費が高くなります。また、テレビCMを多く打っている企業は、広告宣伝費が高くなります。

一方、利益の部分では、5種類の利益がわかります。まず、売上高から原価を差し引いたものが(1)売上総利益です。粗利とも呼ばれています。次に売上総利益から販管費を引いたものが(2)営業利益です。販管費とは商品を販売するためにかかった費用と会社全体を管理するための費用で、社員の給料、広告宣伝費、運送費、地代家賃などが含まれます。つまり、営業利益は本業で稼いだ利益です。一般的に「利益」といわれるときには、この営業利益を指すケースが多くなります。

本業で稼いだ利益に、本業以外で獲得した収益(営業外収益)を加えて、費用(営業外費用)を差し引いたものが(3)経常利益です。経常利益は、会社の実力が最も表れる利益といえます。

たとえば、本業以外に株式投資や不動産賃貸などで利益を得ている場合には、経常利益に反映されます。本業は企業によって異なりますが、企業の定款には事業内容を記載する部分があり、ここに書かれたものが本業です。

(4)税引前当期純利益は、一定期間に発生したすべての出来事を加味して計算された利益です。事業を売却して利益が出た場合や火災によって損失を受けた場合には、税引前当期純利益に反映されます。そして、税引前当期純利益から法人税などの税金を差し引いたものが(5)当期純利益となります。

このように売上高からさまざまな経費を差し引いていき、最後に残った利益が当期純利益になるのです。

P/Lは企業が利益を獲得するためにどのような努力をしたかが見えるので、一定期間の会社の経営成績を表す書類といえます。