ヴァーモント州サウス・バーリントンのピッツァガッリ・コンストラクションは、さまざまなモチベーション手段によって、多岐にわたる成長を遂げながら弾力性を維持してきた。共同会長のアンジェロ・ピッツァガッリによれば、99年に設けられた社員持ち株制度は、社員の離職率を引き下げ、勤続年数を伸ばしている。「最初、転職志向の強かった多くの社員は、自分たちが本当に会社のオーナーになれるとは信じていなかった。今では彼らはこの会社でずっと働きたいと望んでおり、多くの社員が友人にわが社に入るよう勧めている」。同社はまた、目標を高く設定し、能力を伸ばす機会を与えることで、自己満足を芽のうちに摘みとっている。

セキュアワークスの場合は、組織構造と情報の流れを変えることがカギだった。CEOのコートはこう説明する。「年に10回は顧客に『接する』というコミットメントは、わが社の最重要目標『顧客維持率90%』を直接、支えるものだ。成長するにつれて、このコミットメントを果たすことは難しくなったが、より一層、重要にもなった。われわれは誰か一人の人間がこの目標を『自分の仕事にする』ことが必要だと気づいた」。そこで同社は、顧客関係担当副社長のポストを新設し、顧客関係管理システムを構築して全社員に利用を義務づけた。その結果、2002年から04年の間に、セキュアワークスの顧客基盤は8倍に拡大し、売り上げはほぼ20倍に増えた。

リーダーは、会社のライフサイクルの時期によって用いる手段を変えることもできる。たとえば、クエスト・ダイアグノスティックスでは、変革を導き、一連の買収を指揮するために、幹部たちはまず決定権を中央に集中させた。変革が進むにつれて、現場スタッフに権限を委譲することで、徐々に決定権を分散させていった。それ以降は、弾力性を維持するために、情報の流れなど別の手法を用いてきた。今日、クエスト・ダイアグノスティックスはアメリカの医療検査市場のトップを走っており、03年には41億ドルの売り上げで3億2200万ドルの収益をあげている。

(翻訳=ディプロマット)