誰もが認める断トツ日本一のホテルチェーンとなる

このキャンペーンの効果もあり20年度も黒字となる予測です。2019年11月期連結決算では、ホテル業界で世界最強のわが社は経常利益335億円でした。さすがに20年はそこまでの結果は出せないと思いますが、50億円くらいの経常利益は見込んでいます。

20年6月に入ってからは、キャンペーンを使って泊まりに来てくださる方が増えて、稼働率が80%を超えた日もありました。最安値で2500円という破格なので赤字ぎりぎりですが、アパホテルを利用したことのないお客様にお試しいただくにはいい機会だと思っています。

コロナ以前からホテルは供給過多でしたが、都内のアパホテルはありがたいことに常に月間稼働率100%という状況にありました。それはお客様の利便性を考え抜いた部屋づくりに加え、「新都市型ホテル」を掲げて地下鉄の駅3分以内の交通アクセスのいい都心部に展開してきたからこその結果だと思います。

ご存じの通り、コロナショックで観光業界全体が大打撃を受けているので、この先は倒産するホテル会社もたくさん出てくるかもしれません。市場から撤退する企業の穴を埋めるように、より強いところがそのシェアを取ることで、ホテル業界でも寡占化が進むと考えられます。今後アパホテルが目指していくのは、その寡占化一番乗りをいち早く実現することなのです。

今、ホテル業界は百花繚乱期で、どこのホテルもシェア率は横並びで似たようなものです。しかし、この先もし20%以上のシェアを獲得するホテルが出てきたら、寡占化が始まっていると考えてよいのではないでしょうか。

インバウンド客の増加とオリンピック開催を理由に、政府はホテルの増設を進めていましたが、現状すでにホテルの空室が目立つ「オーバーホテル現象」が起こっています。このままでは、仮に21年、五輪が開かれたとして、その後にはさらに深刻な「第2次オーバーホテル現象」が起こるでしょう。コロナを理由にした業績悪化だけでなく、それによっても淘汰されるホテルが当然あると考えています。

いずれにせよ、われわれは積極的に他のホテルをM&Aしていく狙いでいます。

これまで北米に38ホテルを展開するホテルチェーンを買収し、札幌のグリーンホテルも買いましたが、何万室もあるような大きなホテルチェーンを買ったことはなかったので今後は情報があれば検討していきたいと考えています。ただ、それは収益に見合う価格にまで下がってから。

コロナで経営が厳しくなっているホテルがたくさんあり、銀行などから買収の相談はいただいております。ただ、まだまだ価格は下がると思いますので、支援融資している銀行が「もう回収の見込みはない」と判断し損切りせざるをえない状況になってから踏み切るつもりです。

コロナショックでうちの収益が約7分の1に下がっているといえど、資金力はまだまだ十分にあります。人、物、金、情報は結局は一番強いところに集まってきますから、ここはコロナに負けずM&Aに向けて踏ん張って、シェアを拡大していきます。ナンバー1になれば情報がすべてナンバー1に集中することになります。あとちょっとで、APAは誰もが認める断トツ日本一のホテルチェーンとなります。

(構成=万亀すぱえ 撮影=横溝浩孝)
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