「架空経済」の崩壊

2021年に東京五輪・パラリンピックが本当に開催されるかはまだ誰にもわからない。その先の世界経済の動向はもっと不透明な状況だ。

江守哲『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)

ただ言えるのは、新型コロナウイルスは、これまで中央銀行による資金供給で支えられてきた「架空経済」の崩壊をもたらすことになるということだ。

2021年以降は10年間ほど、厳しい状況が続くかもしれない。これまで十数年間、米国を中心にバブル経済に踊りに踊ってきたわけだから、それくらいの厳しい状況は我慢しなければならない。世界的な停滞が長期間続くリスクを念頭に置くことが求められている。

ちなみに、1929年の米国に始まる世界恐慌の際には、株式市場の回復に約25年かかっている。今回はさすがにそのような長期間にわたることはないだろうが、それくらいの長期的視点と覚悟をもって日々の生活を過ごしていくことが求められるだろう。

ジョージ・ソロスの教え

私が投機家としてもっとも尊敬するジョージ・ソロス氏は、新型コロナウイルスのパンデミックとその影響について、「資本主義の未来にとって何が起きるかわからない、かつてない出来事」としたうえで、「私たちはパンデミックが始まったころの状態に戻ることはない。それは明らかだ」と述べている。

確かにこれだけインパクトのある出来事は、人生でそう多くはない。ワクチン開発が成功するまでにも長い時間が必要になるだろう。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長で、トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部の主要メンバーでもあるアンソニー・ファウチ博士は、「年内にウイルスが根絶される可能性はほぼない」としている。私たちには、新型コロナウイルスと共存していく覚悟が必要だ。

今回、これから世界に起こりうる基軸通貨ドルの価値の減価、米国株バブル経済の崩壊状況と、歴史的な世界の覇権国家の移行可能性を分析し、新著『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(小社刊)を上梓した。

金が今後1トロイオンス=2000ドルを超えて上昇する可能性とその理由についても詳しく考察している。「金を買え」といっても、資産運用の話にとどまらない。見えない未来、見えない社会の先を読み、自分自身の資産ポートフォリオを再構築し、新しい時代を生き抜いてほしいという願いを込めている。

※本稿は、江守哲『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

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