「デザインがダサいから買わない」10代
一方で、意外なのが「10代のポテトチップス離れ」だ。
「調査によって明らかになったんですが、10代はポテトチップスのパッケージがダサいと感じています。買うのが恥ずかしいと思っているんですよ。弊社商品で具体的に言うと、ロングセラーの『カラムーチョ』『すっぱムーチョ』(笑)。30代以上の方は、このデザインでしっかり認識してくださっているんですが……」(野間氏)
フレーバーが気に入らないならともかく、パッケージデザインがそれほどまでに購買の阻害要因になるものなのか。
「弊社の24歳の男性社員も、国産ビールには見向きもしませんし、アイスは海外ブランドしか買わないと言っていました(笑)。ラベルやパッケージがおしゃれなものを選びたいと。見た目にかっこ悪いものは受け入れられないんですよ。インスタ世代の特徴でもありますね。SNSで発信していく時、自分というキャラクターを代弁するアイテムがダサいのは、許しがたいんです」(野間氏)
若いうちにポテトチップスを食べつければ、大人になっても食習慣として根付く(筆者が良い例だ)。湖池屋は若年層をつかむため、「プライドポテト」のCMに現役高校生モデルの汐谷友希を起用している。
ポテトチップスは人生に寄り添う
「単身世帯の増加や女性の社会進出により、食事もおやつも個食化が進んでいます。つまりポテトチップスを食べるにしても、『みんなで食べる』のではなく『自分ひとりで楽しむ』人が増えました」(野間氏)
その一方で、40代以上のポテトチップス離れという状況がある。すなわち「プライドポテト」は、まさにその「ひとりで自分好みの味を楽しみたい40代以上」のニーズを見事につかんだのだ。
「ポテトチップスって、100人に聞いたら90人以上が好きだと答えるんですよ。なのに、体に悪そうとか、買うのがかっこ悪いという理由で買わない人がいる。それを払拭するためにいろいろなアプローチを試みています。ただ、既存商品の延長上で商品を企画しても、市場は広がりません。ポテトチップスを単にスナックやおやつの枠組みでとらえるのではなく、いかに生活に浸透する存在にしていけるかを考えています」(野間氏)
野間氏はそう説明したあと、人が幼稚園から40代に成長するまでの「ポテトチップス接触頻度の変遷」を熱弁した。ライフステージとポテトチップス。人生に寄り添うポテトチップス。リニューアルした「プライドポテト」の大成功がもたらしたのは、ポテトチップスと人との幸福な出合いなのかもしれない。