箱根駅伝で区間新出した“真っ白いシューズ”の市販版がデビュー
このコアを搭載したコンセプトモデルのシューズ「THE MIZUNO ENERZY(ザ ミズノ エナジー)」(税込2万7500円)は、ジョギング用で赤いモコモコしたミッドソールが特徴的だ(写真参照)。
これまでミズノはオーソドックスなデザインが多かっただけに、今回はずいぶんと“攻めた”印象だ。こちらは重さが約365g(27.0cm)ある。
そして、トップランナー向けに発売されるのが「WAVE DUEL NEO(ウエーブ デュエルネオ)」。創価大・嶋津が箱根駅伝で区間新を出して衝撃を与えた“真っ白いシューズ”の市販版だ(写真参照)。
ミッドソールには軽量タイプで従来よりも反発性が35%アップした「MIZUNO ENERZY LITE(ライト)」を採用。ミズノ独自の樹脂製プレートである「ウエーブプレート」と組み合わせることにより、反発性の向上を実現したという。
ランニングフォームが変わらないようにソールの厚さは従来モデルと同じ(前足部14mm、ヒール部23mm)。ナイキの厚底シューズ(『エア ズーム アルファフライ ネクスト%』、39.5mm)と比べると“薄底”といえるだろう。
ニット素材の「ハイカット」でフィット感抜群、トレンドになるか
メーカー側が発表する反発性のアップ率などのデータは、たいていが「当社比」となるため、他社との比較は難しい。ただ、筆者はこのシューズのポテンシャルはかなり高いと予想している。なぜなら、創価大・嶋津の走りには本当に驚かされたからだ。
嶋津はトラック1万mベストが29分15秒71で、箱根予選会は個人総合96位。箱根駅伝は区間ひとけたでも“好走”といえるレベルの選手だった。にもかかわらず、快挙を果たした。
箱根で走る前にはナイキの厚底シューズを試しているが、「自分には合わなかった」と、ミズノの真っ白のプロトタイプを履いて、10区で13年ぶりとなる区間新記録したのだ。チーム初のシード権をもたらした活躍は、ナイキの厚底シューズを履いて、区間記録を塗り替えた選手たち以上のインパクトがあった。
そして面白いと思ったのがシューズのかたちだ。
アッパーの設計をハイカットにしたモデルは、ミズノのランニングシューズでは初で、他メーカーを含めても非常に少ない。ニット素材を採用することで、足全体を包み込むようなフィット感があるという。それでいて軽い。
重さは約185g(26.0cm)。踵部を支えるカウンターパーツ(芯材)を入れずにフィット感を高められるため、「WAVE DUEL NEO」のローカットモデルよりも約10g軽くなっているのだ。価格(税込)はハイカットモデルが2万5300円、ローカットモデルが2万900円。7月中旬から順次販売開始となる。販売目標(発売から1年間)はグローバルで「WAVE DUEL」シリーズ全体1.5万足だ。
ハイカットは好みが分かれそうだが、一般的なシューズと比べて足首が固定されるはずなので、筋肉の余計なブレが抑えられて、疲労を軽減する効果があるのかもしれない。そして、同モデルの快走が連発すれば、厚底ブームに続いて、ハイカットブームがやってくる可能性もあるだろう。