プチ断食とジョギングで減量したら…

食事は豆腐と果物だけ。仕事中に頭が働かなくなったらブドウ糖のタブレットを噛み砕く。ファスティング(プチ断食)と称して、野菜ジュースと通販で入手した酵素ドリンクなるものだけを口にする日もありました。

運動もしました。仕事が終わり、0時を回ってから深夜のジョギング。人気のない東京湾岸の倉庫街まで走り、ボーッと海を眺めていたおぼろげな記憶があります。というのも、あまりに無茶な生活をした結果、当時のことをよく覚えていないのです。

そんな毎日は1カ月ほど続き、体重はみるみる10キロ以上落ちました。体重が90キロ台になり、ダイエットに成功したと思い込んでいた僕は、出ていった彼女と話し合いの場を持つことに。「自分はやればできる」と意気揚々とその場に臨んだ僕に、彼女ははっきりとこう言いました。

「デブがとかじゃなくて、あなたのことがもう好きじゃない」

1年半も約束を守らなかったわけなので、完全なる自業自得です。「(ダイエット)できるんだったら、もっと早くちゃんとやせてほしかった」と言う彼女に、返す言葉もありません。

とはいえ、さすがにこれはショックでした。報われなかった努力がバカバカしくなり、好きなものを好きなだけ食べ、家でゴロゴロする生活に逆戻り……。1カ月後には体重が元に戻り、さらに1カ月後にはむしろ5キロも増えていました。過去最「重」記録の更新、体重は115キロ。体脂肪率は34%で、つまり、体の3分の1が脂肪の状態です。

再び告げられた「デブはタイプじゃない」

今であれば、無茶な“ダイエット”により絵に描いたようなリバウンドをしてしまったことがわかります。空腹の時間が長く、栄養バランスも偏っている。運動にしても急激にハードなことをしたため、継続できず、ケガをしやすい。このような“ダイエット”では、一時的に体重は減るものの、筋肉まで減ってしまい、より太りやすい体になってしまうでしょう。当然ですが、この“ダイエット”は大失敗なので、絶対にマネをしないでください。

その後、僕は失意のうちにダイエットのことを頭の外に追い出し、生活していました。

しかし、です。ありがたいことにその半年後、新しいパートナーができる運びとなりました。それではいよいよ正式に付き合いましょうか、というタイミングで、その彼女はキッと僕を見やり、こう言ったのです。

「でもわたし、デブはタイプじゃないからね」

こんなことってある!? 人生でまたこのセリフを聞くことになろうとは……。さすがにこれ以上、同じことを繰り返すわけにはいきません。こうして僕は「今度こそやせよう」と固く心に誓ったのでした。