なぜ「わかっている」のに続かないのだろう

「やせて」と言われて「わかってるって」「がんばるから」という返事をしたことのあるすべての人のために、僕はこの原稿を書いています。なぜなら、この言葉が決してウソでないことを、他ならぬ僕自身がよく知っているからです。

やせなければいけないことがわかっていても、やせるためにがんばろうとしていても、それでもやせない。このことは、実は科学的に説明ができます。

「人はなぜ太るのか」「人はどうすればやせるのか」──これらはダイエットというテーマに向き合う上で最大のテーマです。それぞれについての個別の情報、あるいはこれらを広く網羅した情報は、世の中にすでにたくさん溢れています。

しかし、ダイエットに悩む人は一向に減っているようには思えません。

ひとつの理由は、このような情報の中には誤りも含まれているから。もうひとつの理由は、たとえ正しい情報でも実践するのが難しいから。誤った情報を基にダイエットに取り組んでも効果は出ないばかりか、逆効果になることもあります。また、正しい情報でも実践できなければ意味がありませんし、「自分にはダイエットは無理なんだ」と諦めてしまう人がいるかもしれません。

本や記事を読み漁ってもやせなかった理由

でも、心配しなくて大丈夫です。

僕は、誤りを含む情報に基づいてダイエットをしてリバウンドをし、正しい情報に基づいたダイエットはいつも挫折していました。それが今、やせることができた。なぜかというと、正しい情報を知り、それに基づいたダイエットを続けるための工夫をしたからです。

僕は2014年3月に地方国立大学の医学部医学科を卒業し、2017年からネットの報道機関で、2019年からは新聞社で医療記者、つまり医療や健康をテーマにした取材をして、記事を書く仕事をしています。まさに、正しい情報を取り扱うのが仕事です。情報だけでは解決できない問題は、専門家と一緒に、どんな工夫ができるか考えます。医療記者になった当初から、ダイエットをテーマにした取材を続け、自分でも実践してきました。このノウハウは、きっと多くの人が、ダイエットを成功させるために役に立つと信じています。

医療記者になる前、僕はダイエットの関連本やネットの記事を読み漁り、目についた方法に飛びついていました。にもかかわらず、僕はやせませんでした。このような行動を僕がとってしまったのは、医学の勉強をしており「ダイエットをしたいなら食事と運動の根本的な改善しかない」という事実を知りながら、目を背けたためでもあります。