紙に書き出してみると安心する
少し乱暴な計算であるが、要は経営者としてこの先の資金状態を数字で考えることである。店舗を休業するか、売り上げが低くても続けるか、それはこのように紙に書いた数字を見比べてどちらが現実的で有利であるかを決めればよい。これが、分かっただけでも心は落ち着くではないか。
そこで、おもむろに「この計算はあくまでも紙の上のこと。この先このようにいかない場合がある!」と考える。
実は、このために、今回の制度融資のコロナ資金がある。
上記の例だと、年商2400万円だから、金融公庫か金融機関から500万~1000万円くらい融資を受けられる可能性がある。無利子・無担保だから使わない手はない。
いかがだろうか。このように紙に書いて整理すると心が段々と落ち着き、“何があってもコロナになんか負けないぞ!”という気持ちになると思う。当たり前のことに見えるかもしれないが、私の感覚では、このようなことが整理できている中小企業の社長は3割もいないのだ。
売上高の落ち込みをどのように回復させるか
冒頭に記したように、わが国の中小企業はコロナ汚染以前にすでに経営力は厳しい状態となっていた。このことを中小企業の経営者は十分認識しておく必要がある。
それを前提として、まずやらなければならないことは、コロナの影響で減少した売り上げをコロナ以前にまで戻すことだろう。
そこで、ステップを踏んで対策を考えてみよう。
第1ステップ:コロナ騒ぎの間でも、変わらず取引をしていただいた取引先、来店いただいたお客さまがこの先も最も大切だ。心からの感謝の気持ちを持って接し、今後もこれまで以上のお付き合いを続けていただくこと。
第2ステップ:コロナ騒動の間にお付き合いが無くなった取引先や来店客は“既存顧客”だ。一度でもご縁のあった顧客は自社のことを知っていてくれる。電話でもメルアドでも知っていたら、時々便りを交換することが肝心だ。こんな時に顧客名簿がなにより財産になる。もし、無ければこれからでも意識して名簿を作る必要がある。
第3ステップ:あなたの事業の“強み”はなんだろうか?
中小企業のなかで、「それははっきりしているよ」と答えられる社長は2割程度。
「まあ、強みはこれかな」程度の会社は4割程度。残りの4割は「そう聞かれてもなんだろな?」と改めて自分に問い直す。つまり、自社の強みも認識していないし、当然強みはない。
コロナ騒ぎで世の中が停滞している間に“わが社の強み”を徹底して作り、磨き上げること。本当の強みならお客さまが認めてくれる。ドンドンと新規の顧客が増えていくことにつながるのである。